雲海の滝 北アルプス・乗鞍岳
撮影年月日:1987年9月28日
もう20年以上前のことだが、9月下旬、乗鞍岳に出かけたことがある。当時はまだ車をもっていないかったので、レンタカーを借りて深夜に畳平の駐車場に到着。仮眠をとり、まだ暗い内から剣ヶ峰山頂を目指す。山頂近くで御来光を迎え、誰ひとりいない山頂に早々に着いてしまった。少し肌寒く、しかも雲も多くなり、登った甲斐はなかったと思い始めたところ、よく見ると登路の反対側には見事な雲海が広がり、稜線にぶつかるところでは雲が滝のように流れ出しているではないか。予想だにしない景観に、慌ててカメラを取り出して、しばらく夢中で撮影した。御来光用に持参した300ミリの望遠レンズは重かったが、無駄ではなかった。
このような「雲海の滝」は、山では時々出会うが、以前訪問した礼文島の桃岩では、島にかかっていた雲が海へ向けて、やはり滝のように流れている様を見たことがある。「おぉ、これはすごい」と67判カメラを三脚にセット。いざ連写しようとカメラを見ると、フィルムカウンターが「19」を指していることに気づいた。67判カメラで使用する220ブローニーフィルムは20コマ分なので、つまりあと1コマしか撮れないってこと。しかも、この時、どうせ67判で撮るようなものはないだろうと予備フィルムを持って来ていなかった。35ミリカメラはあったが、これほどの景観は、やはり67で撮影しておきたい。「な、なに〜ぃ。ウソだろ」と思ったが、後の祭りだ。仕方ないので失敗しないように注意しながら、最後の1コマを撮影するハメになった。
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乗鞍岳・剣ヶ峰山頂から望む「雲海の滝」。望遠レンズでアップにすると、雲がゆっくり流れているのも見てとれた。雄大な景観に、しばし時が経つのも忘れた…

秋田駒ヶ岳・湯森山と笊森山の鞍部から流れ出す「雲海の滝」。手前撮影地が湯森山、すぐ奥が笊森山、右奥は岩手山。
以下5点NEW

中央アルプスで見かけた雲海から雲が流れ始めたところ。撮影は1992年。

谷川連峰・平標山の稜線から流れ出す「雲海の滝」。撮影は2009年。

これは2023年に美ヶ原で見た「雲海の滝」。あまり顕著な「滝」ではないが、上の写真同様に2000m級の山でも発生しうることがわかる。
 山梨県甲州市(撮影時は塩山市)と丹波山村の境、大菩薩嶺で見た雲海の滝。撮影は1998年。

本文で触れた礼文島の桃岩で偶然出会った光景。写真では「滝」という感じには見えないが、実際には縁から雲が海に向けて下降しているのがわかった。絶景を前にフィルム残り1コマを失敗しないように慎重にシャッターを押しただけに忘れられない写真。撮影は1995年。
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