Nature
山岳記
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何だ?コレ9 北アルプス・栂池自然園

撮影年月日:2006年8月3日

 先日、栂池自然園を訪れたところ、広範囲にササが枯れた一角があるのに気づいた。真夏の湿原に、これほどの枯れ色が広がるのは実に異様な光景だ。写真はワタスゲ湿原だが、水ばしょう湿原でも同様にササが枯れていたし、これほどではないが展望湿原でも一部のササが枯れていた。一体何が原因なのだろう。帰り際、栂池ビジターセンターで聞いてみると、センターでも認識しているようで「あの原因はわからないんですよ」と答えが返ってきた。しかし昨年も同じように枯れたが、その後新たにササが生えてきたという。確かに今年も枯れたササの間から若いササが多数出ていた。ササは何十年かごとに一斉に枯れるというけど、そういう世代交代なのだろうか。
 ところでコンパクトデジタルカメラでこの写真を撮っていたら、男性ハイカーの人から何を撮っているのか聞かれた。枯れたササを撮っていると答えたら「これもいいポイントなの?」という。世の中の大方の人は「写真=作品」という発想しかないから、こういう質問が当たり前のように出てくるんだろうけど、ホントいやになっちゃうな。ササが枯れているから不思議に感じる、何が原因なのだろうという疑問がわく…。これが知的好奇心というもので、そのために写真を撮るのは私くらいなのだろうか。おそらくササがこれほど枯れていても何も感じない人もいっぱいいるんだろうな。自然の異変に気づかないということは自分の健康の異変にも気づけないのでは、と余計な心配もしたくなる。

追記
 その後の状況だが、2007年8月に栂池自然園を訪れたので、どう変化しているか確認すると、枯れたササはまだ残ってはいたが、確かに世代交代が進んでいて、枯れた部分は目立たなくなっていた。



栂池自然園・ワタスゲ湿原を覆う枯れたササ。撮影2006年8月3日



その1年後、2007年8月7日に撮影した同じ場所の状況。


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