Nature
山岳記
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山で困ったこと2 山形県米沢市・吾妻連峰

撮影年月日:2001年10月27日

 吾妻連峰の山形県側。山麓から約12キロの未舗装林道を上った場所にある立岩の登山口に車を置き、弥兵衛平湿原や東大巓を巡って下山した時のこと。たたでさえも登山者の少ないコースで、その日立岩に車を置いたのは私だけ。太陽は西に傾き、立岩周辺は完全に陰になって肌寒い。立岩から山麓へ向けて車をスタートさせたが、ひとつ気がかりなことがあった。朝来るときに林道の路肩が崩れかけた場所があったのだ。そこは谷側が崩れかけており、一方山側にはぬかるみができている「いやな状況」だった。
 車を出してすぐ、その場所が見えてきた。朝は無事に通過できたが「ぬかるみにタイヤがとられてスリップしなければいいが…」と一瞬その前で停止し呼吸を整えて、ゆっくりその場所へ浸入した。ガタッとぬかるみの凹みにタイヤが入ったのがわかる。谷側は路肩が崩れかけているため道幅が狭く、ぬかるみを避けることはできないのだ。だが、そこからタイヤを脱出させようとした時、「ズズッ」というイヤな音。少しアクセスを踏んでみると、さらに「ズズズッ」。完全にスリップしている。ヤバ〜!こんな山奥で、しかも時刻は夕方。車がぬかるみにとられて脱出できない事態に陥るなんて想像もしたくない。
 こんなときは、まずは落ち着くことだ。スリップに慌ててアクセルをいくら踏み込んでも、さらにスリップするばかりでかえって状況が悪化するのはわかっていた。だからパワードライブのスイッチを入れギアをローにチェンジ。今度はそっとアクセルを踏んでみた。するとゆっくり車は動きだし、何とかぬかるみから脱出できた。フーッ。助かった。もしそれでも動かなければ、ぬかるみに木の枝を差し込んだり、いろいろやってみるしかないと半分は覚悟していたので、まずは脱出できてよかった。実は私の車は4WDなのだが、なぜかスリップしてしまったのだ。この理由はよくわからない。確かに普段、4WDの効果を感じることも多いのだが、ここではその能力を発揮できなかったわけだ。
 いづれにしろ私は撮影のため時間がかかり一番最後に下山することも多いので、万一の事態の時は自分で対処するしかない。これくらいですめば大した事態でもないのだが、普通の林道ならともかく路肩が崩れかけている場所だけにさすがにスリップした時は肝を冷やした。
 ちなみに立岩にはその後も2度ほど行ったが、路肩はそのままだが、土を入れて整地され、ぬかるみができないように改善されていた。しばらくは大丈夫だろう。


吾妻連峰・立岩手前にある路肩が崩れかけた場所。写真にも写っている「ぬかるみ」にタイヤをとられて、一瞬ゾッとした。車が無事脱出したあと記録のために写真に収めておいた。


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