Nature
山岳記
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土砂降りの雨 鹿児島県・屋久島

撮影年月日:2005年8月6日

 天気予報を見極めて出かけても山で雨に遭うのはよくあること。だが土砂降りの雨に遭うことは少ない。天気が不安定なら、そもそも出かけないからだが、それでも山行中に天気が悪化して土砂降りの雨に見舞われることもある。私の過去の経験で最も印象に残っているのは、昨年屋久島で遭遇した雨。めいっぱいに水道栓を開けたシャワーを浴びているのではないかと錯覚しそうなほどの降り方で、まさに「バケツをひっくりかえした」ような土砂降りとはこういう雨をいうのだろう。雨具やザックカバーで防御していても身体も荷物も濡れに濡れたし、当然登山靴の中にも水が浸入した。
 ほかにも初めて志賀高原を訪れた時に降った雨や小松原湿原の下山路で降った夕立も記憶に残るほどの土砂降りだった。山では雨は安全面からも降らない方がいいのだが、たまに遭うくらいなら雨も悪くない。雨の中を歩いた記憶は意外と新鮮で、思い出に残るものだ。

 ところで私が4才の時、両親に連れられ中央アルプスを歩いたことがあった。しかし幕営した夜、すさまじい雷雨となり、雷雲の中にいるのではないかというほどの光と雷鳴に命の危険を感じたそうだ。両親は落雷しないようにテントのポールをはずして遠くに投げて身を低くして雷雲が通り過ぎるのを待とうとしたが、じきに幕営地に水流までも押し寄せてきた。そんな状況の中にあって4才の私はテントの中を流れ抜ける水流に浮かぶエアマットの上で平然と熟睡していたらしい。確かにその夜の記憶はまったくない。私が覚えているのは、その翌日のこと。すでに雨は止んでおり、近くの山小屋に立ち寄り、高山植物の絵ハカギを買ってもらった光景だけ、なぜかしっかりと記憶に残っている。う〜む、今はそのカケラもないけど子供の頃の私って結構大物かも。いや単に深く眠るのが得意なだけか。



屋久島・縄文杉の帰路で遭った土砂降りの雨。その日は一時的にざぁーと降ることはあったが、すぐに止み、太陽が顔を出すこともあった。ところがトロッコ軌道を歩いている最中に空が暗くなったと思う間もなく、いきなり猛烈な雨が降り始めた。この写真では、土砂降りの雰囲気はあまり感じられないが、その途中に防水デジタルカメラで撮影した一枚。


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