Nature
山岳記
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登山道の荒廃と補修 北アルプス・室堂など

撮影年月日:2000年8月24日など

 最近は登山者の増加などにより、さまざまな登山道の荒廃が生じている。例えば日本百名山のひとつ利尻山では、登山道が深くえぐれてしまっているし、北アルプスや吾妻連峰など、多くの人気のある山では、登山道の幅が拡大するようなことも起こっている。今後、この傾向はさらに進むと想像され、何らかの対策が求められるが、なかなか難しい問題には違いない。
 ところで私たちは普段、何気なく登山道を利用しているが、自然の中に作られている登山道は、ただでさえ雨で崩れたり、雪どけで傷んだり、さまざまな問題が生じる。そこで現地を管理している市町村などが、時々その補修を行うわけだ。だが、車が入る車道とは違い、工事も人力による部分が多くなり、それだけ大変な作業になる。山域によっては、その作業を山小屋が担っていることもある。
 昨年初夏、白神山地のある遊歩道をたどったところ、補修工事の真っ最中だった。三脚を担いだ私の姿を見て、工事の人から「お互い大変だね」と声を掛けられ、少し話をした。聞くと雪解けのために毎年手を入れなければならないという。確かに遊歩道が作られた山の斜面は水を含んで非常に軟らかくなっており、斜面に足をのせるとズズーッと崩れるほどだった。そうならないための補修だそうだが、雪国では雪がとけたあとも大変なのだった。下の写真は室堂で見かけた登山道の補修工事だが、こうした作業によって利用しやすい登山道が保持されていることを忘れないように大切に利用したいものだ。


 
登山道の補修工事。木で固定するのは、階段状にして歩きやすくするだけでなく、石や土砂の流出を防ぐ意味もある。北アルプス・室堂(左)。深くえぐれた異常な登山道。北海道・利尻山(右)。


荒廃して幅が広がった北アルプス・太郎兵衛平の登山道(左)。尾瀬の木道付け替えのために運搬された多量の木材と古い木道(右)



桟道の付け替え工事をしているところ。赤城山・覚満淵にて



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