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山で見る月 北アルプス・白馬岳+那須連山・熊見曽根

撮影年月日:1991年8月15日+1986年11月1日

 月というのは、かねてから不思議な天体だと思っていた。表側だけを地球に向けて裏側は見せない。衛星というのは惑星のまわりを公転しながら自転もしているから惑星に対してある一面側だけしか見せないというのは、普通はあり得ないはずなのだが。ちょうど「起きあがりこぼし」のように月の中心と重心がズレていて、重心側が地球を向いて回っているのだろうか。そんな天体だからかどうかは知らないが、月が出ていると何かを感じる。そんなこというと錯覚だと笑われるかもしれないが、何かの気配を感じて見上げたら月が出ていたという経験は何度もある。いっておくが、低空にかかる細い月でも気づいたことがあるから月の光に気づいたのではない。地球の潮の満ち引きや生物にも影響している月。感覚が研ぎ澄まされた山の中では、動物に比べて鈍い人間の感覚でも、月に反応するのかもしれない。

 山で見る月も悪くない。やはりまぶしすぎる満月ではなく、薄明の中に浮かぶ眉月がいい。


北アルプス・白馬岳で山小屋近くの高台から沈む夕日を見送る。そのあと友人としばらくそのまま座って薄明の空を眺めていると、やがて剣岳上空の三日月が輝きを増してきた。



那須の三斗小屋温泉に泊まったあと早朝小屋を出て、ヘッドライトを頼りに熊見曽根へ登る。その途中、朝焼けの中に浮かぶ眉月が絵になっていた。





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