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土砂崩れ 長野県・奥志賀高原など

撮影年月日:2005年10月14日など

 登山道を埋めるように土砂が流れたあとを割と見かける。時間がある程度経過していれば、その上に新たに道ができているわけだが、登山道とはいえ大自然の驚異に隣り合わせなのだということを思い知らされる。
 私は過去に環境調査会社で神戸の六甲山の崩壊地調査に携わったことがある。阪神淡路大震災の時、六甲山系では各所で大小さまざまな土砂崩れが多数発生したが、土砂はやがて渓谷や沢筋に沿って少しずつ流されるため、砂防ダムの計画・建設の上で、その全体像を知ることが必要不可欠というわけなのだ。私自身、川をせき止めるダムについてはその必要性に疑問に感じているが、砂防ダムについては六甲山のおびただしい崩壊地を見るにつけ、そのすべてが無駄だとか、自然破壊とまではいえないと思っている。ただ、作りすぎという場合もあって、それは再考する必要がある。
 一昨日、地元のバス会社からの要望もあったので奥志賀渓谷コースを取材してきたが、ここでも渓谷の対岸に土砂崩れを起こした場所があった。ほとんどの土砂崩れの規模はせいぜいこの程度でたいしたことはないが、今夏、上高地に続く国道で大規模な土砂崩れが発生したのは記憶に新しい。今は完全に復旧しているが、現場を通ると、その規模に驚かされる。通行中の車が巻き込まれなくて本当によかった。ちょうどハイシーズン中の出来事だったから、迂回路に当てられた上高地乗鞍林道は、その間無料となり、地元では復旧に向けて相当な努力をしたらしい。わずか約1ケ月後に通行可能になったのは、その証だ。



奥志賀渓谷コースで見かけた渓谷対岸に発生した土砂崩れ(上左)と林道を通行止めにした土砂崩れ。福島県高郷村にて(上右)。長野県・北八ヶ岳の大石川林道では大きな岩が木をなぎ倒して崩れていた(下左)。沢沿いに流れてきた多量の土砂。秋田県・虎毛山にて(下右)。
上高地に続く国道158号線を不通にした大規模な土砂崩れ跡。修復されたが、現在はこの斜面を大きく迂回する高架橋が建設中。




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