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山の落とし物&拾い物 全国各地

撮影年月日:1986年11月23日など

 登山道を歩いていると、いろいろなものが落ちている。昨今はゴミが落ちていることは少ないが、現場を管理している人にいわせると、むしろ巧妙化していて、わざわざ目につきにくいところに隠すようにしてゴミを捨てる例が増えているという。それなら道端に捨てていく方がまだましなわけで、隠す手間があるのなら持ち帰れといいたい。道端にゴミがないからといって、マナーが向上したと考えるのはどうやら間違いのようである。
 むしろ登山道では、落としたことに気づかないで放置された小物類が多い。一番よく見かけるのはタオル。ほかに多いのはカメラのレンズキャップだろうか。私はこれまでいろいろな落とし物を見かけた。拾った物もいくつかある。


落とし物いろいろ
1 傘の柄
 奥日光・刈込湖〜切込湖の登山道上で柄だけが道端に突き刺してあった。落としたんじゃなくて故意に刺して放置したんだろうけど。長い間、どこで見たのか記憶になかったが、たまたま最近、過去に撮影した膨大なポジフィルムの中から発見したので、その写真を以下にアップしておく。

NEW

奥日光・刈込湖〜切込湖で1993年撮影。登山途中に傘が壊れたのであれば、お持ち帰り下さい

2 メガネのレンズ
 両神山の登山道でレンズだけが落ちていたのを見かけた。レンズは片側だけで割れてはおらず、登山道の真ん中にころがっていた。メガネをかけていれば何かの拍子に枠からはずれたとしても気づくはず。そうであれば普通は拾うだろう。クリップのように柄だけをポケットに刺しておいたので、レンズがはずれたのに気づかなかった可能性もなきにしもあらずだが、タウンウォークならいざしらず登山中なら、そんな危なっかしいことは、あまりしないのではないだろうか。ひょっとすると、これは遭難者のもので、雪解けで上の方から流されてきたのかもしれない。あとで想像してぞっとした。そういえば、両神山といえば遭難行方不明者が、時折出る山である。私が初めて登った時も登山口に行方不明者の情報提供を呼びかける看板が出ていたし。その可能性もなくはない。


3 バイク
 落とし物といっていいかどうかわからないが、本当にバイクが登山道に放置されていたことがあった。1986年11月、入笠山から山麓の別荘地へ下る登山道沿いでのことだ。おそらくオフロード走行としゃれこんだものの、そのまま下ることも戻ることもできなくなって、やむなく放置したのだろう。ナンバープレートははずしてあったが、整備すれば動きそうな状態で、持って帰りたがった友人もいた。
入笠山の登山道に放置されていたバイク


4 ハイヒール
 神戸・六甲山のヤブで見つけた。なんでヤブの中に落ちていたのか、考えただけでも怖い。詳しくは→山岳奇譚


5 近年見かけた落とし物 
以下写真6点すべてNEW

◆傘

長野県松本市・美ヶ原 思い出の丘にて。雨が止んでひと休みした時にでも置き忘れたのだろうね。落とし物じゃなくて忘れ物だけど


◆カメラのフィルター

群馬県草津町・芳ヶ平登山道にて。フィルターも結構高いからね〜。あーもったいない

◆サングラス

岐阜県下呂市・巌立峡にて。

◆剪定鋏
落とし物というよりも置き忘れだろうけど、それにしても登山口に剪定鋏って、実に不思議な組み合わせだなあ。和歌山県田辺市・半作嶺登山口にて


◆猟銃の薬莢

愛知県豊田市・大栗山にて。ほかでもたまに見かける


◆靴のソール

靴の樹脂が加水分解が原因で歩行中にパッカリ…だったのだろうか。長野県小谷村・鎌池にて



●拾い物いろいろ
1 テントのポール一式
 南八甲田で拾った。ポール一式が袋に入った状態で登山道沿いに置いてあった。その日は帰宅日だったので、最寄りの警察に寄るヒマもなく東京に戻ってから、青森県警にこんなもの拾ったけどそちらに送った方がいいか、と手紙を書いたら、自宅近くの警察に届けておけばいいと、人のよさそうなおまわりさんが電話をくれた。そこで当時、近くにあった世田谷の北沢警察署に届けておいた。念のためヤマケイの拾い物のコーナーにも投書し掲載されたが、その後持ち主から連絡はなかった。

2 古銭
 横浜に住んでいた時、近くにある氷取沢市民の森を抜けるうっそうとした山道で拾った。道端の土の斜面に半分埋もれた状態の古銭に気づいて拾ったのだが、ここはもともと鎌倉に続く道が通っていた場所だから、その昔、鎌倉を目指す旅人がうっかり落としたものなのかもしれない。横浜市内で、こんな古いものを拾うとは。ここは市民の森だけに、休日には散策に訪れる人も結構いるのだが、誰も気づかなかったわけだ。たぶん、それまでは土の中にあったのに私が見つける直前に雨で地表に現れたのだろう。おそらく古銭としての価値は大したことないだろうけど、我ながら、よく見つけたと思うよ。
横浜の山道で拾った古銭

3 一円玉と五円玉ばかり入った財布
 吾妻連峰の浄土平〜仙水沼間の河原で拾った。持ち主の手がかりがあるかも知れないので中を開けてみたところ、万札くらい入っているかと思いきや、それに反して一円玉と五円玉ばかりが、ごっそり入っていたので笑ってしまった(持ち主さんごめんなさい)。浄土平ビジターセンターへ届けると、名前と住所を書いてといわれたが、10万円が入っていたのなら、ちょっぴりお礼を期待するが、これじゃ1割でも大した金額にもならない。それにこれくらいのことでお礼をいわれても困るので遠慮した。持ち主も一円玉と五円玉だけの財布なので捜してもいないんじゃないかな。

4 葉っぱの化石
 これは子供のころ。長野県の山岳道路で偶然に見つけた。工事のため大渋滞していて、びくとも動かないので暇をもてあまして車から出てみたところ偶然に落ちていた。今もその化石は実家にある。

5 水晶
 六甲山の河原で見つけた。持ち帰ったが、どこにしまったか忘れてしまった。捨ててはいないと思うのだが。

6 つながった枝
 小学生のころ、広島のどこかの山でのことだったと思う。登山道でおもしろい枝に気づいて拾った。ふたつに分かれた枝がすぐ上でつながっている。大木では稀に見られるが、これほど小さなものはたとえあっても気づかないだろう。それが登山道に落ちていたのも不思議だが、目に留まったのも不思議。さらにいえば小学生の時に拾った小枝をいまだに保管している私も、他人からみれば不思議かも。
長さ9センチほどの小枝だ


●私が落としたもの
 カメラのキャップやファインダーの補助レンズは何度も落としているから、どこで落としたか記憶にない。地図入りのマップケースは南会津でヤブコギの最中に紛失。また焼石岳では、吸水性・速乾性に優れた登山用タオルも落とした。すぐに気づいて戻ったが見あたらなかった。その日は風が強かったので、どこかに吹き飛ばされたのだろう。最近では屋久島の縄文杉コースで、高輝度発光ダイオードヘッドランプ(普通のヘッドランプと違って結構な値段)を落としてしまった。2日後、同じコースをたどったので探したのだが見つからず。念のため屋久島署にも電話を入れたが、届け出はなく諦めた。
 ザックをおろして休憩したり、撮影したりすると出発する時によくまわりを見る習慣をつけているから、それ以外に落とした経験はあまりない。



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