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変わった登山口2 秋田県鹿角市・焼山 後生掛温泉

撮影年月日:2008年6月8日+2002年10月9日

 八幡平の西側に位置する焼山は、新潟県にある同名の山と区別するために秋田焼山とも呼ばれる活火山である。ふたつの登山コースがあり、そのうちのひとつは、名湯として知られる後生掛(ごしょがけ)温泉が古くから登山口とされてきたが、実はここ。ほかに例がない類い稀な登山口だった。「だった」と過去形なのは、近くに新登山口が整備され、登山口としては、もう閉鎖されてしまったからである。

 後生掛温泉の入口と売店・食堂がある新館建物の右手、「後生掛温泉」「湯治村」と書かれた門を抜けて下った先が、かつて焼山の登山口だった。パッと見には、利用客以外は立ち入り禁止ではないかと思えるような場所。でもさらに進むと湯治棟の入口に「焼山登山口」と書かれた手書きの案内図が掲示され、湯治棟内の廊下を通って裏手の橋を渡れば、そのまま焼山登山道に導かれていた。つまり登山道が温泉宿の建物内を抜けていることになり、訪れた登山者全員が驚いたのは間違いない。その後、建物の外を通るように変更された時期もあったらしい。

 温泉宿や立ち寄り湯施設のそばに登山口がある例はあるが、さすがにこんな登山口は、ほかに知らない。閉鎖された理由は不明だが、ちょっと残念だ。



開湯300余年といわれる八幡平の名湯・後生掛温泉。写真は入口に建つ新館。



新館向かって右手の道を下る。屋根付きの門が目印。



湯治棟入口の階段。取材時には手書きの案内図があった。この先、建物内を抜けるところを撮影しておらず、代わりにその様子がわかるサイトが、こちら。ほらね、建物内を抜けてるでしょ。これによると、少なくとも2013年までは登山道が建物内を通っていたことになる。



湯治棟を抜けて裏手に出たところ。橋を渡れば、この先が焼山登山道だった。現在は本文でも説明したように閉鎖されている。



橋を渡って湯治棟を振り返ったところ。



焼山登山道から見下ろす後生掛温泉。



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