<<前のページ | 次のページ>>

山上集落 東京都青梅市・御岳山

撮影年月日:2001年5月19日

 山上集落とは、文字通り標高が高い山の上にある集落のこと。例えば首都圏で最も有名な山上集落といえば、やはり御岳山(みたけさん)のそれだろう。御岳の山上集落は、武蔵御嶽神社参拝のための宿泊地として発達したもので、現在も宿坊や旅館が建ち並び、集落を抜けた標高929mの御岳山山頂に武蔵御嶽神社が鎮座する。崇神天皇の時代の創建とされ、御眷属(ごけんぞく)の大口真神(おおぐちのまかみ=ニホンオオカミ)を祀っていることから、狛犬もそれを象ったものである。山麓から都道ものびているが、行き違い困難な狭い舗装道で、しかもケーブルカー滝本駅より奥は居住者の車と許可車しか進入できないため、通常は御岳登山ケーブルを利用して徒歩で向かうことになる。

 また奥武蔵では、ユガテ、高畑、八徳などの山上集落が知られ、特にユガテは古くからハイカーに人気。私は行ったことはないが(ユガテの入口を車で通過したことはある)、物見山と越上山(おがみやま)の中ほどにあり、春はウメやサクラ、ナノハナなどが咲き、まさに桃源郷のような趣らしい。300年の歴史があり、現在も農家2軒が畑を耕作されているという。漢字では「湯ヶ手」とか「湯ヶ天」と書くそうだ。標高は290m。

 一方、信州には標高800〜1100mの山上集落もある。飯田市の下栗の里だ。南アルプス・尾高山から南にのびる尾根上にあり、池口岳や光岳なども望まれるほか、南アルプスらしい深い谷と相まって、まさに「日本のチロル」と形容されるのも納得の景観が広がっている。




御岳登山ケーブル御岳山駅の先から望む御岳の山上集落。大きな鳥居あたりからよく見える。



武蔵御嶽神社参道の商店街。人通りも多く、標高800mを越える山上の光景とは思えない。



立派な門構えの宿坊。



武蔵御嶽神社の拝殿。国宝や重要文化財も有する関東を代表する古社だ。



日の出山へ向かう登山道から御岳山方面を振り返る。左手のピークが御岳山山頂で、写っている建物が武蔵御嶽神社。



長野県飯田市・下栗の里から望む南アルプス。撮影は1999年。



急峻な山の斜面に家屋や畑が点在する下栗の里。



同じく下栗の里。道路も狭くてつづら折り。



数年前に四国を取材してまわった際、いくつも山上集落に行った。準平原の中国山地と比べれば、山が深くて地形が険しい四国山地には、あちこちに山上集落があるが、多くの世帯は移転して空き家になっていることが多いようであった。そんな山上集落で撮影した写真を2点(上・下)掲載しておく。上の写真は早明浦ダム近くの集落で撮影したものだが、ダム付近では曇天だったのに、やがて雲を抜けて集落に着くと晴れて、雲海が広がっていた。撮影はどちらも2021年。



高知県の某山登山口にもなっている山上集落。こうして見ると結構、民家があって、そこそこ人が住んでいそうに見えるが、住民に聞くと居住しているのは2〜3軒とのこと。その人も普段は別のところに住んでいて、今日はたまたま用があって来ていただけと仰っていた。こうした状況を踏まえれば、いかにも日本らしい山上集落がいつまで存続できるか気になるところだ。もしかすると、あと10〜20年程度かもしれない。若いうちは体力でカバーできるが、高齢になるとどうしてもスーパーや病院に通いやすい、便利な場所に住むことは切実な事情になってくる。それを考えれば、やはり存続は厳しいだろう。



 CONTENTS 
 
   
 

Nature
山岳記