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川の源流 徳島県那賀町

撮影年月日:2021年10月26日

 川の源流を紹介する時に「○○川の最初の一滴」という表現をよく見聞きする。どんな大河であっても必ず最初の一滴があり、そこから流れ下るに従い、流域から支流が次々に合流して川の規模が拡大していく…という認識をもっている人は多いだろう。しかし、すべての河川に最初の一滴があるとは限らない。例えば天竜川は諏訪湖の釜口水門から流れ出す川なので、水源は諏訪湖ということになり、最初の一滴は存在しない。諏訪湖も八ヶ岳などの周囲の山々に降り注いだ雨を集めているので、諏訪湖よりも遡れば、最初の一滴は確実にあるわけだが、それは1ヶ所ではなく無数にあって、しかもそのどれもが天竜川としての最初の一滴ではない。

 一方、源流をある程度ピンポイントで絞れる川も多く、そうした源流には碑が立てられていたりするが、沢の源頭というよりも、碑自体は少し下流側の行きやすい場所にあることが多い。

 ピンポイントの源流としてわかりやすいのは、笠取山山頂直下にある水干(みずひ)だろうか。沢の行き止まりという意味で命名された場所で、この60メートル下に湧き水があり、これが多摩川の源流である。まさに川の源流のイメージ通り。

 源流は深山にあることも多いので、その言葉の響きにどこかロマンを感じてしまう人は多いのではないか。



剣山スーパー林道の剣山トンネル西口に立つ那賀川源流の碑。



埼玉、長野、山梨の3県にまたがる甲武信ヶ岳の埼玉県側に設置された荒川水源の碑。撮影は2000年。



同じく甲武信ヶ岳の長野県側。千曲川の源流に立つ「千曲川・信濃川水源地標」。厳密な源流はさらに上流の山頂直下の沢の源頭だろうが、それよりも少し手前に立てられている。川の源流としてはよく知られ、毛木場登山口から続く登山道は、千曲川源流遊歩道という名前が付けられている。ちなみに千曲川はここから214キロ下り、新潟県に入ったところで信濃川と名前を変える。撮影は2000年。



長野県木祖村。鉢盛山の峯越林道沿いに立つ木曽川源流碑。左手に見えているのが源流のワサビ沢。厳密にはワサビ沢の源頭が木曽川の源流ということになるが、そこまでわざわざ登山道を付けられないので、最寄りの林道沿いに設置してあるのだろう。ちなみに私は取材のため森林管理署に許可をもらって薮原林道と峯越林道を経由して車で入ったが、一般車は通行不可とのことだ。徒歩なら進入可能だが、ゲートから3時間かかる。撮影は2018年。



長野県根羽村にある矢作川源流碑。矢作川は長野、岐阜、愛知3県を抜けて三河湾に注ぐ。撮影は下の写真も含めて2018年。



碑のそばにある矢作川の源流。「最初の一滴」じゃなくて積み石の間からザァーザァーと流れ出している。



川の源流だからといって深山にあるとは限らない。長野県白馬村の姫川源流は国道沿いの駐車場からわずか徒歩10分。フクジュソウなどが咲く花の名所としても知られ訪問者も多い。水源は隣接する親海(およみ)湿原だが、伏流水となって地上に現れた場所が姫川源流と命名されている。姫川は白馬村から小谷村と新潟県糸魚川市を抜けて日本海まで60キロを流れる。撮影は2015年。



姫川源流。水の中にはバイカモが揺れ、水質もいいのだろう。中央やや右手に写っているのが上写真の源流湧水碑。撮影は2005年。



本文で触れた木曽川の起点が、ここ諏訪湖の釜口水門。木曽川の水源は諏訪湖なので、最初の一滴のイメージとはほど遠い。撮影は2018年。



山口県岩国市・寂地峡入口に立つ宇佐川源流の碑。解説板には「錦川流域・宇佐川の源流はここより5キロ上流の寂地山にあります」とある。撮影は2005年。


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吾妻連峰の白布峠に立つ最上川源流碑。撮影は2001年(左上)。皇海山山頂に立つ渡良瀬川水源碑。撮影は1998年(右上)。横浜市の氷取沢市民の森に立つ大岡川源流域を示す標柱。撮影は1997年(左下)。岡山県西粟倉村の若杉原生林にある吉井川源流之碑。撮影は2004年(右下)。



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