隠れ里 某県某所
撮影年月日:2019年7月9日
山間部の集落は、それこそ日本には至る所にあって、その多くは高齢者しかいない限界集落であり、あと十年もすれば消滅しそうなところばかりだ。全国各地の山奥まで行く機会が多い私は、これまで多くの山の集落を見てきた。中には山の上の、結構高い場所にある山上集落もあるのだが、これについてはまた別途取り上げることにして、今回は「隠れ里」というキーワードで記事を書きたい。
私が過去に見てきた山里の中で、隠れ里という形容が今なお似合う場所はひとつしかない。そこは中国地方の某県某所に人知れず存在する。集落といっても家は数軒しかなく、訪問後に調べてみると居住しているのは、たったの3世帯だったが、現在はまた状況が変わっているかもしれない。
たまたま取材でその集落の奥へ行く必要があって、どんな場所なのかもまったく知らず、カーナビに導かれて行ったのだが、まさに隠れ里みたいなところだった。その集落へのアクセスルートは2本あるが、どちらも車1台分の幅しかなく、すれ違いが困難な狭い道。舗装はされているが、県道からも結構距離があり、林間にうねうねと続く。やがて視界が開けて件の集落たどり着いた。山々に囲まれた緑一面の谷間にポツンポツンと家が立ち、最初の家は、ガラス戸が開いており人が住んでいる気配があったが、とにかく一帯はシーンとして、鳥の囀りしか聞こえない。
この集落を隠れ里と形容したい理由はほかにもあって、地名がまたなんとも謎めいているのだが、ここで紹介すれば興味本位で訪問する人が増えるかもしれず、そうなっては集落の人にとっては迷惑千万。なので地名は伏せておく。
集落の奥には、平安時代の歴史書にも記述がある神社が建ち、伊勢神宮と同様に20年に一度、遷宮が行われているというから並大抵ではない。しかも難路の先にある奥社は、なんと現在でも女人禁制なんだそうだ。平家の落人伝説も伝わり、余程の歴史的な経緯がある場所なのだろう。それなのに全国的な知名度はない。まさに隠れ里と呼ぶにふさわしい。
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集落に続く市道。こんな狭い道がしばらく続く。

すれ違いも難しい狭い道を延々と山の中に進んだ先に数軒の家が点在し、まさに隠れ里の趣。あくまで居住者がいる民家と私有地なので、モザイクをかけた。

草に埋もれかけた地名表示板。実に謎めいた地名が書かれていたが、特定されない方がいいと思うので、こちらもモザイクにした。
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