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急登 北アルプス・合戦尾根

撮影年月日:2018年7月23日

 急な登りが続く「急登」。登山者としては、なるべく遠慮したいところだが、山やコースによっては避けるわけにもいかない。ただでさえ荷物が重いのに、うんざりするほどの急な勾配につづら折りの登りが続けば、早々に白旗を上げたくなる。

 これまで何度も急登を越えてきた経験からいえば、急登であることをあまり意識しないのが、一番の対処方法だと思う。急登ゆえに落石を起こさないとか、注意すべきことには注意しなければならないが、「急登いやだな~。早く終わらないかな~」なんて思っていると、それだけでストレスになって身体機能にもマイナスに作用する。イヤなことは時間が長く感じるが、心の中に何もなければ、そうでもない。どんな急登でも何も考えずに心を無にして淡々と登っていけば、意外とあっさり「急登終わったぞ。バンザイ!!」になる。

 ところで我が国の登山コース上には、日本三大急登や北アルプス三大急登のような、誰しも認める急登があって、確かになかなか手ごわい。前者は①北アルプス・烏帽子岳に続くブナ立尾根、②谷川岳に続く西黒尾根、③南アルプス・甲斐駒ヶ岳に続く黒戸尾根が選定され、後者は①ブナ立尾根は同じだが、ほかに②燕岳に続く合戦尾根、③剱岳に続く早月尾根が選ばれている。

 ほかの山でも「胸突き八丁(むなつきはっちょう)」と呼ばれる急登に時々出会う。元々、富士山頂上手前の八丁(約872m)が険しくきつい登りだったことに因んで、胸を突かれるほど苦しくきつい登りに対して使われるようになり、さらに物事を進める過程で「一番苦しい最後の正念場」の意味の慣用句にもなった。

 私にとって記憶に残るほどの急登は、日本三大急登や北アルプス三大急登を除けば、例えば北アルプス・不帰ノ嶮(かえらずのけん)から天狗ノ頭に向かう急登とか、八ヶ岳連峰・阿弥陀岳に向かう美濃戸からの直登コース終盤の急登とか、ほかに距離は短いが、中央アルプスの八丁坂や北アルプス・立山の雄山に向かう一ノ越からの急登なんかも挙げられる。また低山にもまれにすごい急登があることがあって、そのひとつが箱根・屏風山の急登だった。



北アルプス三大急登のひとつに数えられる燕岳(つばくろだけ)の合戦尾根。きつい登りがずっと続くわけではないが、中房温泉の登山道入口から燕山荘(えんざんそう)まで標高差が約1250mもあり、自分のペースを守ってこなすしかない。急登ゆえに休憩用に第一~第三ベンチと富士見ベンチの計4ヶ所が用意され、途中の合戦小屋は宿泊不可の休憩と食事用の山小屋として重宝されている。夏場は、急登を越えて合戦小屋でスイカを食べるのが登山者の習わし。



日本三大急登に選ばれた谷川岳の西黒尾根。私は下山コースとして利用したことしかないが、下りでもスゴかった。「圧倒的な下降」とでも表現すべきか。これが登りなら相当にきついだろうな、と思った。撮影は1996年。



日本百名山・雨飾山の小谷コースでは、最後に結構な急登が待ち構えていて、夏場は汗をしぼりとられる。少し前までは快晴で蒸し暑く、かなりバテ気味なのを無理して登った。撮影は1994年。



中央アルプスの千畳敷から乗越浄土へ至る八丁坂も結構な急登である。最初は左右に広がるシナノキンバイなどのお花畑に癒されるが、次第に風景を楽しむ余裕は減っていく。撮影は2018年。



標高948mの箱根・屏風山山頂に立つためには、かなりの急登を強いられる。写真は1998年6月に登った際、三脚を立てて自らをタイマー撮影したのだが、急過ぎて三脚を立てるのでさえ、危なっかしいほどだった。



北海道・斜里岳。清里コースの上二股を過ぎると、馬ノ背までは胸突き八丁の急坂となる。その入口に掛けられていた看板。撮影は1995年。

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新潟県妙高市の妙高山の北地獄谷コースにある胸突き八丁。その標識。撮影は2018年。



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