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竹の道・笹の道 静岡県下田市・寝姿山

撮影年月日:2001年3月6日

 竹と笹。どちらもイネ科の植物で、紛らわしい点が多く混同しやすい。一般的には丈が高いのが竹、低いのが笹と認識されるが、実は例外もある。下の写真で紹介したハコネダケは、名前に「タケ」が付き、しかも丈も高いので竹かと思いきや、アズマネザサという笹の変種にあたる。竹は生長に従い、稈鞘(かんしょう。タケノコを包んでいる竹の皮のこと)が落ちるが、笹は生長しても残ったまま。ハコネダケは、稈鞘が残ったままなので笹のなかま、ということになる。また竹の葉は網状脈だが、笹の葉は平行脈という、わかりやすい違いもある。

 山岳地では完全に竹よりも笹の方が勝っており、尾根筋や山の斜面が笹原で覆われていることはよくあって、本項山岳記でも「笹原に覆われた山」でもかつて紹介した通りである。笹があまりに繁茂し過ぎて、ほかの植物の生育に支障を及ぼして問題になることもあるほど。

 あくまで景観として楽しむ分でいえば、どちらも特有の風情があって竹の道も笹の道もそれぞれ味わいがある。ただ、竹林を抜ける登山道はあまりなくて、低山の山麓でたまに出会うことがある程度だ。



伊豆半島南端近くにある寝姿山から高根山へ歩いた時、途中、竹林に遭遇した。寝姿山は標高わずかに196mの低山なので、竹林があっても不思議ではないが、本文でも書いた通り、竹林を抜ける登山道というのは確かに少ない。



長野県上田市の四阿山と根子岳の鞍部は、大すき間(十ヶ原)と呼ばれ、一面が笹原で覆われている。



群馬県中之条町の渋峠~芳ヶ平間には、ダマシ平と呼ばれる平坦地があり、やはり広大な笹原になっている。登山道をたどるだけであれば問題ないが、積雪期や残雪期にはルートを外れて遭難しやすいことから、注意を促す意味もあってこの名前が付いている。



神奈川県の箱根と静岡県の熱海一帯にはハコネダケが分布し、例えば箱根町の仙石原湖尻自然探勝歩道を歩くと、写真のようなハコネダケの中を抜ける場所がある。本文に書いたようにハコネダケは竹ではなくて笹だが、密度が高いブッシュ状の様相は竹林にも笹原にも見えない。



ハコネダケは標高の高い箱根外輪山上にも見られるが、標高1000mを越えるとハコネメダケに変わるらしい。写真は明星ヶ岳登山道。



箱根外輪山の外側、湯河原町の幕山でもハコネダケに迎えられた。



伊豆半島を縦断する伊豆スカイライン沿いに続く伊豆山稜線歩道は、まさに笹原の稜線に続く道。富士山の眺めもよく、爽快なコースだ。



山梨県富士河口湖町と身延町の境にある竜ヶ岳も富士山を背に続く笹原の登山道。



山梨県北杜市・清里高原に続く道。林床が背の低い笹原に覆われていた。撮影時の踏み跡は明瞭だったが、通行者が減少すると笹が繁茂して、容易に失われてしまうだろう。



南大菩薩の大倉高丸も笹原で覆われ、その中に登山道が続いていた。撮影は1992年なので、現在はまた変わっているかもしれないが。



長野県長野市の飯縄山も笹原に続く登山道だった。



長野県阿智村と岐阜県中津川市にまたがる横川山も山全体が笹に覆われているかのように思えてしまうほどの圧巻の笹の山。そのため南沢山からの登山道はずっと笹原の中に続く。





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