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何だ?コレ21 北海道上士幌町・シンノスケ三の沢林道

撮影年月日:2013年7月10日

 以前、北海道上士幌町のシンノスケ三の沢林道で見かけたものである。西クマネシリ岳登山口に続く林道の途中で、その付近だけ、なぜか立ち木が異様にぐねっと曲がっていた。一部、真ん中から折れている木もあった。

 原因として誰しも想像するのは、積雪による圧力だろう。雪国では、雪解けに伴って雪の重みによる圧力が毎シーズンのようにかかるので、緩斜面の林を構成する木のすべての根元部分が、斜面下方に向けて曲がっていることはよくあることだ(一番下の写真参照)。
 1枚目の写真を見れば、すべて右側に向けて曲がっているので、左方向から雪の圧力があったと考えられる。確かに西クマネシリ岳が左側方向にあるため、現地でも左側の方がわずかに高い緩斜面になっていることは認識していたし、念のため地形図を確認してもその通りだった。だから、その点からも矛盾はしない。
 しかし、根元ではなく、木の上部が水平方向を越えて地面に向くほどに曲がっている木は初めて見た。

 雪の圧力は、条件次第では相当なものだろうが、いうまでもなく、雪はある日突然、上空から巨大な雪の塊として落ちてくるわけではない。少しずつ木のまわりに積もっていくので、どんなに豪雪があったとしても、それがすぐに木に対する圧力になるわけではない。
 これほどまでに曲がったということは、木の中ほどまでの積雪があった段階で、近くの斜面で雪崩が発生して、木の上部だけに圧力をかけたとも想像されるが、雪崩のような大きな動きが木に影響する場合、おそらく曲がることで吸収される圧力を余裕で越えるので、むしろ幹が真っ二つに折れる木の方が多いと思われる。しかも、もし雪崩であれば、もっと広範囲の木が帯状に影響を受けているはずだが、見る限り、曲がっているのは、林道南側の緩斜面のうち、数十メートル四方くらいの、ごく狭いエリアのみなのだ。

 また立ち木に着雪した雪の重さで曲がった可能性もあり得るが、写真手前と奥に写っている「曲がっていない木」と「大きく曲がった木」は、きれいな境界線で区切られていて、それも不自然だ。着雪の影響であれば、手前や奥の中にも曲がった木が出るはずなのに、そんな木はない。植林の時期が新しくて、ここだけ曲がりやすい若木だった可能性はあるかもしれないが、雪解け直後であればともかく、もう季節は真夏だ。若い木ばかりなので、少しは立ち上がっていてもいい頃ではないか。
 ほかに竜巻も考えられるが、写真に写っている背後の林にはまったく影響が見受けられないないことから、その可能性は低いだろう。では、一体なんだろうか?

 そうだ! UFOが着陸しようとして、上から木を押さえ付けるように曲げてしまったという仮説も考えられるかも!! UFOは、上空から垂直に下降したのではなく、緩斜面の上側から下側に向けて斜めに着陸しようとしたので、立ち木が同じ方向に曲がってしまった…という空想を捨てきれないぞ(笑)。






シンノスケ三の沢林道沿いの数十メートル四方の木々だけが、こんなに曲がったり、折れたりしていた。上の写真では、折れずに90度くらいまで曲がっているのも異様である。写真から見るだけでは、奥の林には影響は及んでいないようだ。



雪国では、珍しくない「根曲がり」。このくらいであれば、ひと目で雪解け時の圧力が原因といえるのだが。新潟県妙高市・斑尾高原で。



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