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設置型の熊除け 群馬県片品村・尾瀬ヶ原など

撮影年月日:2010年7月20日

 山では時々、登山道途中に熊除け目的の鐘などが設置されていることがある。登山者個人がそれぞれ持参する熊除け鈴ではなく、現地に設置された熊除けというわけ。私の場合、確か2003年に長野県山ノ内町・奥志賀高原の白樺苑路で見たのが最初で、それ以前に他所で見た記憶はないが、その後、似たようなものを各地で見かけるようになった。
 クマが警戒する、鐘のような金属音が出るものを設置しておき、通りすがりの登山者が打ち鳴らして、クマに退散してもらうのが目的。たとえ登山者が熊除け鈴を忘れても熊除けにつながるので、確かに便利かつ安全といえそうだ。
 本項「山の鐘」でも熊除け目的で設置された北海道・松山湿原の「松山の鐘」と「長寿の鐘」の写真を掲載したが、通常はもう少し小さな鐘を使うことがほとんど。金属パイプなどの代用品が吊り下げられていることも多い。



◆吊り鐘の熊除け


群馬県片品村・尾瀬ヶ原。鳩待峠から下ると、山の鼻手前にある熊除け鐘。「ご通行の皆様。熊に出会わないために人が通ることを知らせてあげましょう。鐘を鳴らして下さい」とある。設置したのは、尾瀬の主要土地所有者である東京電力と尾瀬の保全活動をしている尾瀬保護財団。



長野県須坂市・米子大瀑布の遊歩道沿いにあった熊除け鐘。



旧中山道・馬籠峠の長野県南木曾町側で見かけた熊除け鐘。このコースは、外国人観光客も多いため英文も添えられており、欧米系の女性観光客2人連れもおもしろがって鳴らしていた。


◆金属パイプの熊除け
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全国に数ある設置型熊除けの中でも最もロケーションがいい場所かもしれないのは、きっとここ。北アルプス・乗鞍岳にある小ピークのひとつ大黒岳にある熊除け。大黒岳山頂をはさんだ反対側にもある。


長短二本の金属パイプが吊り下げられ、揺らすか、叩くかして音を出すタイプのもの2例。長野県山ノ内町・志賀高原の四十八池登山道(左)。同じく志賀高原の自然探勝コース(右)。


打ち鳴らすためのハンマー付きのもの2例。長野県山ノ内町・奧志賀高原の白樺苑路。ここは私が最初に設置型の熊除けを見たところだが、写真はその時のものではなく、5年前に撮影した写真(左)。長野県木祖村・やぶはら高原。「この鐘を鳴らすのはあなた」とあった。付属のハンマーは、どちらも本物のハンマーではなく、細い金属パイプをT字状に溶接したものだった。


岐阜県下呂市・巌立峡で見かけた金属部材にハンマー付きのもの2例。ここはホームセンターなどに売っている本物のハンマーが付属。どちらも「たたいてから進行」とあった。


何かの金属製円筒状部材を再利用し、中に鎖が吊り下げられたタイプ。長野県高山村・七味大滝遊歩道(左)。一方、こちらは金属製円筒状部材にわざわざフックが溶接してあった。ハンマー代わりの細い金属パイプ付き。福井県大野市と岐阜県本巣市の境に続く能郷白山登山道にて(右)。


◆一斗缶の熊除け

これはユニーク。一斗缶と木の棒が吊り下げられただけのもの。「熊予防のため音を出して前に進んで下さい」と油性ペンで書かれていた。岐阜県飛騨市・天生湿原登山道。


◆ラジオの熊除け?

必要とあらばラジオのスイッチをを入れて熊除けにしようという目的で設置されたものと思われる。群馬県嬬恋村・バラキ湖畔キャンプ場の奧、湖畔の湿原入口にあったので、キャンプ場管理者が置いたのかもしれない。



ラジオの裏側にまわってみると、この注意書きがあった。ゆえにラジオも熊除け目的だろうと想像した次第だが、本当の目的は不明。



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