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登山歴30年を越える頃から
見えてきた本当のこと


 どんな分野でもいえることだが、特定分野に長年接していると、最初のうちは気づかなかったことでも次第に気づくようになるものである。
 私は幼少の頃から登山を続け、登山歴はすでに40年を越え、しかも仕事で関係者に接する機会も多い。そのため「真の実態」に気づきやすいということもあると思うが、山の世界に関して若い頃はまるで見えていなかったことが次第に見えるようになった。それは、登山歴30年を越える頃から増えた気がする。具体的には、例えば次のようなことだが、今後、別のページを設けて、ひとつひとつ中身を詳しく説明したいと思う。



◆山や自然を生業にしているすべての人が、まともでいい人というわけではない

◆山や自然を生業にしているすべての人に自然を理解するために本来は絶対に必要なはずの科学リテラシーが備わっているわけではない

◆登山者は、みんな「自分は山や自然に詳しい」と思い込んでいるが、そのほとんどは現地情報や登山情報、あるいはグッズ情報であり、自然の根本的な摂理については、まるで理解していない人も多い

◆登山者自ら「登山をする人に悪い人はいない」というが、その外から見ている人には必ずしもよく思われていないことに気づいていない

◆マナーの悪い登山者として苦情が多いのは、実は若者ではなく中高年である

◆現在、日本国内で登山を趣味にする人は、800万〜1300万人(様々なデータあり)もいるが、おそらくその中で最も割合が多いのは登山歴が十年以下の初心者である

◆国土地理院の地形図は確かに信頼できる地図情報だが、実は経年変化とは思えない間違いが割とある

◆ヤマケイは、一般の登山者がそのイメージだけで勝手に信じ込んでいるほどのご立派で輝かしいブランドではない

◆登山ガイドブックや登山地図の著者の中には、自分の体力自慢としてコースタイムを設定する問題人物が稀にいる

◆山岳雑誌や登山ガイドブック、テレビ番組で紹介される山の花の名前には、時々、ものすごい低レベルの間違いがある

◆現地に立てられている解説板や案内板、道標の内容はすべて正しい、という認識は間違いである

◆地元役所・役場も含めて地元の人の認識や意見は必ずしも正しいわけではない。いくら地元の人でも間違いはあるし、初心者は所詮、初心者である



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山岳記