<<前のページ | 次のページ>>

林道3 林道の横断溝 滋賀県米原市・霊仙山など

撮影年月日:2011年7月3日

 林道を走行すると、時々、路面を横断するように垂直に埋め込まれたゴム板があることに気づく。さて、あれは何のためのものか、ご存じだろうか。工事の際にちょっとはみ出してしまったゴム製遮水壁? いや、実はそうではなくて、溝としての目的で設置されたものなのだ。

 林道よりも格上の町道とかになると、幅深さともに数十センチのコンクリート製の溝を掘り、その上にグレーチングを載せた雨水や湧水用の溝があったりするわけだが、林道ではそこまで手の込んだ工事をされることは少ない。しかし、林道は両側の法面から雨水や湧水が路面上に流れ込んでくることも多い。そこで傾斜した路面上にゴム板を埋め込み、水が路面上に広がらないように一定の方向に水の流れを誘導させるのが目的。ネットで検索すると「簡易型横断溝」とか「ウォーターガイド」とか呼ばれてメーカーが製品化しているようだ。

 ただ、すべての林道でこのゴム板式の簡易型横断溝が採用されるわけではない。中には、路面上にわずかに盛り土をして緩い段差を作ることで代用させることもあるようだ。そんなシンプルな構造でもゴム板と同様の効果が見込めるからだろう。

 九州の取材では、こうした段差がやたら頻繁にあって、車の乗り心地が随分悪い上に、乗り越える度に車体底部が段差頂部に接触する林道に遭遇した。おそらく同じように感じた登山者などの一般人が勝手に路面を平坦にしたこともあったと見えて「段差を改変しないで下さい」と書かれた注意書きが立てられていた。林道を走行する一般人は「なんで、こんなに段差があるんだよ! ちゃんと工事しろよ」とか思ったかもしれないが、要は水対策で意図して作られた段差なのだから、平坦にしてはいけないのだ。




滋賀県米原市・榑ヶ畑林道(くれがはたりんどう)に設置されたゴム板製の簡易型横断溝。法面から出た水を、このゴム板に沿って流れるように誘導し、路面上に広がらないようにするのが目的だ。ゴムなので車が乗り越えても問題ないし、ゴムの方も車が繰り返し踏んでも劣化しないように工夫されているらしい。



大雪山系・トムラウシ山の短縮登山口に続くユートムラウシ第2支線林道に設置された簡易型横断溝。



長野県信濃町・黒姫山の大橋林道に設置された簡易型横断溝。舗装林道だけでなく、このような未舗装林道に設置されることもある。



新潟県湯沢町・平標山に通じる未舗装林道の簡易型横断溝。



長野県飯田市の南アルプス・池口岳登山口に続く未舗装林道の簡易型横断溝。



長野県軽井沢町の石尊山中腹に新たに整備された林道。簡易型横断溝も設置されたばかりのようだった

NEW

広島県安芸太田町・林業専用道上田吹西平線の簡易型横断溝。

NEW

岡山県鏡野町・遠藤林道三ツ子原線の簡易型横断溝。



鹿児島県鹿屋市の御岳・上祓川コース登山口に続く林道上には、このような路面を横断する突起があり、おそらく目的は水対策として故意に作られた簡易型溝だろうと思うが、4輪駆動の私の車でさえ、乗り越えるときに車体底部が当たったほどだった。



同突起部分をこうして車で乗り越えると…



車体底部の部品に当たり、少しだがガリガリと音がした。普通車なら部品を傷めるのは必須で、土のものならともかく、さすがにコンクリート製突起による簡易型溝は、ちょっと困る。こうした例はほとんどないが、もし見かけたら通行の際は要注意だ。



同じく舗装林道の路面上にアスファルトで作られたかまぼこ状突起。これも水対策と思われる。おそらく簡易型横断溝が商品化される前は、こうした舗装作業で余ったアスファルトで作られていたと思われる。最近はほとんどゴム製の簡易型横断溝なので、こういうタイプの林道は施工時期が古いのかもしれない。群馬県草津町



 CONTENTS 
 
   
 

Nature
山岳記