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林道2 林道の路面状態 北海道八雲町・ヤンカ山など

撮影年月日:2013年10月12日など

 林道の路面状態は、林道ごとにいろいろ。ありがちな「林道=未舗装悪路」という認識は必ずしも正しくない。未舗装でも路面が良好な林道は割とあり、例えば砂地の安定した路面では、ほとんど車体が揺れないので舗装路面と大差はない。一方、悪路となると、これがまたスゴイところがいっぱいある。ただ、走行不能なほどの悪路は、そもそも一般車両が進入できないように入口に鍵付きのゲートが設けられていることが多い。

 私が、これまで実走した未舗装林道の中でも最も劣悪だったのは、福島県西会津町・飯豊連峰の鏡山登山口に続く未舗装林道である。終盤は石がゴロゴロと覆う路面となり、何度も石を乗り越えながらの走行を強いられた。…というか走行という言葉を使うのもためらわれるほどの低速度でしか進めない。四輪駆動車なのに車体底部に石が何度も当たり(といっても軽い接触程度ですんだが)、とにかく神経をすり減らした。

 この日は平日で、直前まで雨がしとしと降っていた。しかも飯豊連峰の登山口としてはマイナー。なんとか終点の登山道入口まで行って引き返したが、当然のことながら帰路もまたまたスゴイ悪路。「こんな道、誰も入って来ないだろうな」と思いながら運転してたら、なんとセダンが1台上がってきたのでビックリ。車内を見ると、運転席に初老の男性がひとり。登山目的であれば時間的に遅い。しかも今にも雨が降り出しそうな天気に加えて、この悪路だ。

 どう見ても私の車よりも車高が低く、おそらく2輪駆動車なのも間違いないだろう。そんな普通車で何度も何度も底部を石に当てながら来たに違いなかった。そんなことをまでして、ここに来た目的とはなんだったのだろうか。大いに謎である。狭い林道ながらも、ちょうど路肩にスペースがある場所だったので、なんとか行き違いに成功したが、無事に帰還されたのか気になるところである。

 ちなみにこの登山口では、近年になって登山道入口手前に登山者用駐車場が整備され、そこに車を停めるように町では促している。




北海道八雲町のヤンカ山登山口に続く林道。路面は大小の石に覆われ、一部に雨溝が生じていた。「かなりの悪路」の部類に入る。



宮城県加美町・船形山の夕日沢林道。枝の張り出しが多く、路面はこんな泥んこ状態。しかも登山口までの距離はやたら長い。



北海道斜里町。カムイワッカ湯の滝入口に続く道は、正確には道道93号だが、通称・知床林道とも呼ばれる。未舗装には違いないが、写真のように幅員は広く2車線分もあり、砂利敷きで路面状態は悪くない。この写真を撮影する前には、ヒグマを見かけた。



一見、未舗装林道のようだが、実は上と同じく道道。北海道上川町の大雪山系・銀泉台に続く道道1162号である。北海道では、多くはないがたまにこのような未舗装の道道や国道に遭遇する。それが北海道らしいワイルドさを感じておもしろいのだが…。ただ、北海道の登山口に続く林道は、意外なことに(例外はあるにせよ)、距離はやたら長いが、路面状態は割といい。



林道の路面整備が最も悪いのは、東北地方…という印象を私は持っているが、ただ東北地方の取材は、一番目だったこともあり、近年取材した地方と比較すると約10年もの開きがある。その点を無視して地方ごとの林道状況について何かいうのは不公平かもしれない。従って最近は改善している可能性もあるわけだが、あくまで実走した経験だけでいうと、確かに東北地方の林道はずこいところが多かった。写真は深い雨溝が生じた青森県外ヶ浜町・袴腰岳に続く丸山林道。



もちろん、東北地方の林道がすべて悪路だったわけではない。写真のように砂利敷きの比較的整備のいい未舗装林道も多かった。写真は秋田県北秋田市・森吉山の森吉林道。



轍の間に草がびっしりと覆う林道も時々ある。岩や石と違って車体底部の部品を直接傷めることはないが、草の中に石が隠れていても見えにくいので、あまりいい感じはしない。岩手県岩井村・早池峰山の門馬登山口に続く早池峰林道。



本文で書いた福島県西会津町・飯豊連峰の鏡山登山口。この写真は、林道終点なので、林道の路面状態はわからないが、参考までに掲載しておく。



路面に岩が多い悪路だが、実は林道ではなく市道である。兵庫県朝来市・段ヶ峰。



日本には、こんな感じで路面全体が草に覆われた未舗装林道も存在する。通常は轍部分に草が生えないものだが、よほど通行量が少ないのだろう。石がゴロゴロの道よりか幾分マシだが、やはり走っていて気持ちいいものではない。熊本県高森町・阿蘇山の色見行儀松コースに続く未舗装林道。



宮崎県日之影町の比叡山林道も、かなりの悪路。岩が多く、ヒヤヒヤの連続だったが、なんとか終点まで行ってきた。4輪駆動車でないと、まず無理だろう。



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