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山の吊り橋 朝日連峰・角楢平など

撮影年月日:2002年8月11日

 登山コースは、渓谷を渡ることも多い。大抵は渓谷へ一度下りて飛び石や簡単な橋で越え、再び登り返すことになるが、整備のいいコースでは、わざわざ渓谷に下りなくてすむように橋が架けられていることがある。登山者としては大助かりであり、体力的なロスを防ぐメリットもある。
 山の渓谷に架けられる橋は、やはり吊り橋ということになる。歩行者専用だからコンクリート製のおおぎょうな橋にする必要はなく、吊り橋なら設置も掛け替えも比較的簡単にすむからである。近年は、鋼管と金属ワイヤーを用いた金属製の吊り橋を見かけることも多くなった。金属製なら耐久性が高く、管理・補修をする必要がほとんどないからだろう。

 その一方で手作り感のある素朴な吊り橋に遭遇することもある。私がこれまで見た山の吊り橋の中で、もっとも印象に残ったのは、朝日連峰・大朝日岳登山道が通る角楢平の荒川に架けられた吊り橋である。登山口から進むと最初の吊り橋はなんてことはない普通の板敷きの橋なのだが、次に現れる吊り橋を見て絶句した。それは丸太をワイヤーで縦につないだ一本橋で、つまり足の踏み場が丸太一本分の幅しかないスリル満点の吊り橋だった。左右に並行して張られたワイヤーを伝いながら、ソロソロと渡るわけだが、どうしても下を流れる渓谷に目がいってしまい余計にゾッとする。しかし慣れるとなんてこはないし、むしろユニークな吊り橋のおかけで、山旅に色を添えてもらった気にもなる。



朝日連峰・角楢平に架かる一本橋。足の踏み場は丸太の幅しかない



同じく角楢平の一本橋。山仕事で来ている地元の人は、もう完全に慣れているようでスタスタと渡っていた。写真手前の人のように左右の足をやや外側に向け、丸太を土踏まずに当てるようにして歩くと安定しやすい



秋田県大館市・羽保屋山登山口に架かる板敷き+ワイヤー式吊り橋。板敷きの吊り橋は濡れて滑りやすいこともあるので注意が必要である。



穂高連峰と梓川の清流とともに上高地を代表する景観を作る河童橋。全国に無数にある「山の吊り橋」の中で最も有名な橋といえそうだ。

同じく上高地にある有名な吊り橋・明神橋(左)。栃木県日光市・中禅寺湖の千手ヶ浜に架かる乙次郎橋(右)。



尾瀬の吊り橋といえば、やはり一番はヨッピ吊り橋。さて、唐突ですが、ここで問題です。ヨッピ吊り橋の定員は何名でしょうか? 実は何人同時に渡っても問題ないわけじゃなくて、ちゃんと定員が決まっている。答えは今度、尾瀬に行ったときに確かめてみよう。ワイヤーを支える支柱にちゃんと書いてあるよ。



尾瀬・裏燧林道、シボ沢に架かる鋼鉄製の吊り橋。シボ沢に新しく吊り橋が架けられたことは知ってはいたが、それ以前の1992年に初めて裏燧林道を歩いた際、ここがどうだったかまるで記憶にない。橋はなくて沢に下りて登り返していたようにも思うのだが…。



幅も広く歩きやすい山梨県富士川町・大柳川渓谷遊歩道に架かる吊り橋。ワイヤー以外は木製



静岡県・朝霧高原を抜ける東海自然歩道に架かる根原吊り橋。普段は水量が少ない沢に架かっており、吊り橋を渡らなくても写真右手を通る林道をそのまま歩けばアップダウンもなく沢を越えられる。ただ雨の後は吊り橋がないと渡れないかもしれない。


雨竜沼湿原の登山コースに架かる第一吊り橋。写真前方は登山口のゲートパーク方面(左)。寸又峡といえば、この夢の吊り橋。この橋も定員が決まっているため、時に渡り待ちの行列ができるらしい(右)。


山じゃないけど、オマケ。伊豆・城ヶ崎海岸に架かる門脇吊り橋(左)。島根県奥出雲町にある渓谷・鬼の舌震(おにのしたぶるい)に架かる舌震橋(右)。


台高山脈・大杉谷の地獄谷吊り橋(左)。奈良県天川村・みたらい渓谷に架かる吊り橋(右)。




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