岩場に生え葉がタバコの葉に似る
イワタバコ
イワタバコ科
Conandron ramondioides
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本州の福島県以南、四国、九州に分布するイワタバコ科イワタバコ属の多年草で、日影の湿っぽい岩壁に生え、夏に先が5裂する赤紫色の花をつける。
初秋には先がとがった紡錘形の刮ハをつけるが、この時点では下垂している。しかし熟すと再度、立ち上げて種子を散らし、のちに再び下垂させる。常に茎が下向きのままでは、種子は風に乗るとはいえ、下の方にしか散らず、世代交代の度に岩壁の生育地は下へ下へ移動してしまう。それを少しでも防ぐために茎を立ち上げているのだろう。実に巧みな種子散布戦略とはいえないか。
イワタバコはそれほど頻繁に見かける機会はない。下の写真は数年前に北関東の山で偶然に目にしたイワタバコである。ところでイワタバコ科というのは、あまり馴染みがないが、日本にはほかにイワギリソウやシシンラン、タマザキヤマビワソウなど7属7種があり、イワタバコとは属が異なるが園芸品種として栽培されるセントポーリアもイワタバコ科である。
水滴がしたたり落ちる岩壁で、ひっそりと美しい花を咲かせていた。群馬県・妙義山。
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花アップ。群馬県・妙義山(左)。春の若葉。まだ小さい。広島県安芸太田町・三段峡(右上)。前年の果実。種子は散布済みで中は空だった。山梨県北杜市・尾白川渓谷(右下)。
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三重県大台町。台高山脈・大杉谷の岩壁に咲くイワタバコの花。
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