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湿地に生えるミズトンボ属2種
ミズトンボとオオミズトンボ

ラン科
Habenaria sagittifera
Habenaria linearifolia
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 ミズトンボとオオミズトンボは、どちらも湿地や湿原に生えるラン科ミズトンボ属の絶滅危惧種(ミズトンボは絶滅危惧U類、オオミズトンボは絶滅危惧1B類)。ミズトンボの花は緑白色で目立たないが、オオミズトンボの花は白色。両種ともも3裂した線状の唇弁が何ともユニークだ。
 絶滅危惧種だけに個体数は少ないが、特にオオミズトンボはなかなかお目にかかれない。私が見たのも偶然だった。ある資料に関東某県に私の知らない湿地帯についての記事を見つけて探しに出かけた。そこは畑が広がる里山的な場所で、クルマで探しまわり、ようやく畑に囲まれた湿地を見つけた。どうも目的の湿地とは違うようだったが、そこにオオミズトンボが生えていた。結局、目指した湿地は見つけられなかったが、思わぬ収穫を得られたわけだ。一方、ミズトンボは、昨年、九州の某湿原で対面を果たした。

 ちなみに『改訂・日本の絶滅のおそれのある野生生物/植物T』でオオミズトンボのページを見ると、私が出会った県には自生を示す○印も、現状不明・文献情報を示す△印もついていなかった。だが、その県の植物をまとめた本には複数の自生地が、しっかり記載されていた。これだけ多量の絶滅危惧種について全国区で調査することの限界というわけか。レッドデータブックには、このような記載もれや誤記が時々目につく。



不思議な形をしたミズトンボの花。佐賀県某所



湿地探しの結果、偶然出会えたオオミズトンボ。栃木県某所


  
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植物記