中国の伝説上の動物に由来する
ショウジョウバカマ
ユリ科
Heloniopsis orientalis
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変な名前だが、漢字で書けば「猩々袴」。花の色を猩々の赤い顔に、葉を袴に見立てたという説などがあるが、由来ははっきりしないらしい。猩々とはサルに似た中国の伝説上の動物。そういえば『もののけ姫』にも登場したっけ。早春の山野で鮮やかな薄赤紫色の花を開いた姿をよく見かけるが、真夏の高山帯でも出会うことがある。高山帯で見るものは、花が濃紅色をしているなど、山地帯に生えるものとは幾分様子が異なる。
時に葉の先端に不定芽(茎の先端や葉のわきに形成される通常の定芽に対して、それ以外の部位にできる芽のこと)をつけて繁殖することがある。ただ残念ながら、私はショウジョウバカマと出会うたびに注意して観察しているが、いまだに葉の先端にできた不定芽を見つけられたことはない。なお果実は刮ハで、熟すと裂けて、白い糸のような種子を散らす。
5月上旬、新潟県上川村で見かけたショウジョウバカマ
長野県・大川入山で見たショウジョウバカマ。この山の花は、いづれもこのような薄茶褐色をしていた。当然果実ではなく、枯れているわけでもない(左)。ショウジョウバカの蕾/新潟県新潟市・角田山(右)
乗鞍岳・畳平に7月下旬に咲く花色の濃いショウジョウバカマ(左)。ショウジョウバカマの果実(右)
果実が裂開し、中から種子が現れた。岐阜県七宗町・納古山
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