まるで大量に出てくる回虫のよう
ムシゴケ
不完全地衣類
Thamnolia vermicularis
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北海道と本州の高山帯に分布する不完全地衣類。サルオガセ科とされることもあるようだが、不完全地衣類とされることの方が多いようである。不完全地衣類ということは、遺伝学的な研究がされておらず、何科に属するか、まだ未解明なのだろう。
地衣体は白色~灰白色で、長さ3~6センチほど。分枝はせずに次第に細くなり、先は尖る。中は中空らしい。まるで大量の回虫がにゅるにゅると出ているかのように見え、おそらく名前の由来も、その見た目だろう。異様な姿だが、地衣体のエキスは化粧品の添加剤に利用されるほか、中国の一部地域では、雪茶というお茶にしたり、漢方薬にもされるとか。
写真は大雪山系で見かけたムシゴケ。なお、ネット検索すると、同じものをナギナタゴケと同定するサイトもあるが、ナギナタゴケで再度検索すると、形は確かに似ているものの、解説には「表面は灰緑色から緑褐色」とあり、これは違うのではないか。
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トキワムシゴケも外見はほぼ同じで区別がつかないそうで、写真の株はどちらなのかは不明。資料としては古いが、うちの本棚にある昭和49年に刊行された『原色地衣植物図鑑』(保育社)で調べると、乾燥させて紅色を帯びてくるようであればムシゴケ、しなければトキワムシゴケらしい。ほかにも紫外線を当てる方法もあり、トキワムシゴケは紫外線により蛍光を発するが、ムシゴケは暗色のままだとか。また含有成分も異なり、ムシゴケはタムノール酸を含み、トキワムシゴケはベオミケス酸とスカマート酸を含む、とある。どちらも世界的に分布するが、ムシゴケは南半球に多く、トキワムシゴケは北半球に多いそうだ。北海道はその割合は半々くらいのようではあるが、どちらにしても写真の株の同定は無理そう。

チシマツガザクラやコケモモの間に異様な姿を見せるムシゴケ。どう見ても「わき出してくる大量の回虫」である。この意外過ぎる形態と真っ白な色がおもしろい。

よく似ているが、分枝しないムシゴケに対して、こちらは細かい分枝をしており、明らかに別種だろう。ネットで検索したり、地衣類図鑑で探してみたりしたが、同定はできなかった。今回、目を通した、ある図鑑には白っぽい姿で写っているナギナタゴケが掲載されており、あくまで見た印象の範囲では、よく似ているまではいえなかったものの、図鑑に掲載されている写真では、わずかに分枝しており、その点は共通していた。とにかく地衣類に関する情報はネット上でも不十分で、よくわからないことばかりである。利尻山で撮影。
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