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アイヌ語で「神の足」の意味
イケマ
キョウチクトウ科
Cynanchum caudatum
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 キョウチクトウ科イケマ属のつる性の多年草だが、少し古い図鑑ではガガイモ科とされてきた。北海道から九州の山地に生えるが、標準和名のイケマは、アイヌ語の「神の足」に由来するとされる。

 茎はつる状で他の木や草に巻きついて茂り、長さ3~5メートルほどに生長する。葉は長い柄があり、長さ5~15センチの心形で先は尖り、対生する。7~8月に葉腋から花柄を出して散形花序を付ける。花は、やや複雑な造りをしており、花冠は5裂して大きく反曲し、一見すると萼のように見える。その内側に三角形をした副花冠が直立する構造になっている。果実は袋果で、割れると種子がはじけて風で散布される。

 茎を傷つけると出てくる白汁は、アルカロイドを含み有毒。アイヌは本種を薬用や食用にしてきたそうだ。

 関東地方と中部地方のフォッサ・マグナ地域には、変種のタンザワイケマ(C. caudatum var. tanzawamontanum )が分布する。神奈川県の丹沢山で1984年に見出され、本種よりも花が小さく、花冠裂片が反り返らずに斜上し、葉の基部の湾入が浅いなどの違いがある。本種同様に有毒なのでシカが食べず、丹沢山地では増えているという。



北海道新冠町。日高連峰の林道で見かけたイケマ。


  
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植物記