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周北極地域に広く分布する水草
スギナモ
スギナモ科
Hippuris vulgaris
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 オオバコ科スギナモ属の多年生の沈水~抽水植物。北海道と本州中部地方以北の湖沼や河川、湿原内の池塘などに生える。世界的には周北極地域に広く分布し、ヨーロッパやユーラシア大陸などにも見られる。少し古い図鑑だとスギナモ科に分類されていることもある。スギナに似るので、この名前がある。

 地下茎の節から水中茎がのび、図鑑には「流水中では沈水植物になるが、流れがない湖沼では茎が水面上にのびて抽水植物になる」とあるが、下に掲載した尾瀬ヶ原・下ノ大堀川では流水中にも関わらず、水面上に多数の茎をのばしていた。ひょっとすると流れの速さにも影響されるのかもしれないが、おそらくどちらの形態もあるのだろう。

 茎は長さ10~60センチ。各節に葉が6~12輪生し、沈水葉は長さ2~6センチ、気中葉は長さ5ミリ~1.5センチ。どちらも線形だが、沈水葉よりも気中葉の方が厚い。6~8月に気中葉の葉腋に濃紅紫色の花を付ける。花弁は退化して目立たず楕円形の萼筒から雄しべと雌しべが1本ずつ出る。

  『日本水草図鑑』(文一総合出版,角野康郎,1999年)には、1988年に北海道厚岸町で葉の幅が広いヒロハスギナモ(H. tetraphylla )が発見されたとある。



北海道浜頓別町・ベニヤ原生花園で見かけたスギナモ。ここは止水域で水面上に茎をのばしていた。



尾瀬ヶ原の山の鼻~牛首間で上ノ大堀川を渡るが、ここには昔からスギナモが自生している。写真は1998年7月に撮影したものだが、見事な群生である。尾瀬保護財団公式サイトには同地のスギナモを紹介するページ(こちら)がある。



  
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