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春先はセリと間違いやすい有毒植物
ドクゼリ
セリ科
Cicuta virosa

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  セリ科ドクゼリ属の多年草。北海道~九州に分布。湿地や湿原に生え、ドクウツギやトリカブトと肩を並べる猛毒を含む植物として知られる。
 春に新葉が出た頃は、一見、セリに似ていて間違いやすいので注意が必要だ。生育環境も同じで、場所によつては混生していることもある。見分け方は次の通り。セリは葉柄が短く、葉や茎に特有の香りがあるが、本種は葉柄が長く、香りがない。また本種は、地下にたけのこ状の大きな地下茎があり、これはセリにはない特徴なので、もし地下茎が少し見えていれば、間違いなく本種ということになる。
 夏には、高さ0.7~1メートルにもなる大型の草本で、この時期になれば間違えることはない。葉は、2~3回羽状複葉で、小葉は披針形で鋸歯がある。6~8月、枝先に複散形花序をつけ、白色の小花を球状に多数付ける。

 全草、特に地下茎に猛毒のポリイン化合物(シクトキシンとビロール)を含み、誤って口に入れると、30分以内に痙攣や呼吸困難、嘔吐、下痢、腹痛、意識障害などの症状が出る。過去に死亡例もある。



夏の湿原では、割とよく見かける。ひと目でドクゼリとわかり、花序は細かくて美しいが、それとは裏腹に猛毒を含む。新潟県妙高市。



ドクゼリの群生。北海道稚内市。



たけのこ状の地下茎を持つのが、本種のわかりやすい特徴だ。長野県白馬村。



  
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植物記