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最もポピュラーなツツジ
ヤマツツジ
ツツジ科
Rhododendron kaempferi

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  ツツジ科ツツジ属の半落葉低木。北海道南部~九州に広く分布。山地の林内や林縁、草原などに生える。日本の自生ツツジの中では、最もポピュラーな種。ごく普通に山で見かけ、例えば、栃木県那須町・那須高原や山梨県北杜市・美しの森、あるいは奈良県御所市と大阪府千早赤阪村にまたがる大和葛城山など、各地に名所も知られている。

 高さ1~5メートル。葉は互生し、春に出て秋に落葉する春葉と夏から秋に出て、多くが越冬する夏葉がある。これが「半落葉低木」とされる所以だ。葉は楕円形、卵状楕円形、倒披針形など変化があり、先はとがり、基部はくさび形。両面に毛が生える。

 4~6月、枝先に朱色の花を2~3個つけ、花冠は直径4~5センチの漏斗形で5裂し、上側の裂片には濃い斑点が入る。雄しべは5個。花柱は無毛。萼片も5裂する。果実は卵形の蒴果で、晩夏~秋に裂開する。

 葉と花が小型になる変種をヒメヤマツツジ( var. tubiflorum )と呼び、山口県と広島県の特産。『広島県植物誌』(中国新聞社)をめくると「広島県を代表する特色あるツツジ」とある。広島県西部島嶼部や沿岸部から吉備高原面に広がり、例えば宮島ではヤマツツジよりもヒメヤマツツジの方が多いようだ。 



花期は新緑の時期に重なるため、緑と朱色のコントラストが実に華やかである。栃木県那須町・那須高原。



花期樹形。栃木県那須町・那須高原。



花冠は5裂し、雄しべは5個。栃木県日光市・龍王峡。



  
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植物記