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東日本の太平洋岸に咲くノギク
ハマギクとコハマギク

キク科
Chrysanthemum nipponicum
Chrysanthemum yezoense
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 ハマギクは青森県から茨城県の太平洋岸の崖などに生えるノギクのなかまだが、草のように見えて実は亜低木。つまり草と木の中間的性質をもつ植物で、茎が木質化しているのが特徴だ。草本が多い日本のノギクの中にあって異彩を放っている。また頭花は直径約6センチと大きく、見栄えがあるので古くから栽培されてきた歴史がある。天和年間(1681〜1684)に出た園芸書にも、すでに「浜菊」として紹介されているという。学名にある通り、まさに日本固有のキクだ。

 一方、コハマギクは、名前が似ているだけで、まったくの別種。北海道から茨城県の太平洋岸に生えるので、分布域はハマギクと重なる。ただ、こちらは木ではなく多年草。花はハマギクよりひとまわり小さくて径約5センチ。パッと見るとどちらも白い花をつけ、しかも生育場所も似ているので間違いやすいが、葉の形がまったく異なるので見分けは容易だ。ハマギクの葉はへら形で密に互生するが、コハマギクの方は5中裂または5浅裂する広卵形で柄も長い。




10月下旬、茨城県高萩市高戸海岸の崖に群生するハマギク。


ハマギクの総苞。4列に並び、内片の方が外片より幅が狭い(左)。青森県大間崎の草地に群生するコハマギク(右)。

ハマギク(左)とコハマギク(右)を比較すると葉の違いがよくわかる。


  
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植物記