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古代中国伝説上の崑崙山に由来?
コンロンソウ
アブラナ科
Cardamine leucantha
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 アブラナ科タネツケバナ属の多年草。漢字では「崑崙草」で、いくつかのサイトを見ると「中国の崑崙山に雪が降り積もる様子に見立てた」と説明するサイトが多いが、この崑崙山とは、古代中国にあると信じられた伝説上の山のことなのか、それとも中国に実在する崑崙山脈のことなのか。サイトには両論存在して、よくわからない。ただ、本種が命名された頃、雪を頂く崑崙山脈を実際に見た日本人はほとんどいないだろうから、どちらかというと伝説上の崑崙山から命名のヒントを得た可能性の方が高そうだ。

 北海道~九州の山地に分布。谷や渓流沿い、湿地など、湿った場所を好む。高さ30~50センチ。葉には柄がある奇数羽状複葉。小葉は5~7個からなり、長さ5~8センチで、先はとがり、鋭い鋸歯があり、両面とも毛が生える。

 ところで福島県檜枝岐村の尾瀬御池に上がる国道352号の途中に「
坂の清水」と名付けられた渓流がある。昔は標識も何もなかったが(現在は標柱あり)、岩は苔むし、清冽な岩清水が白線を描き、とてもきれいな渓流なので通る度によく立ち寄って撮影していた。紅葉の頃もよかったが、30年近く前の6月に立ち寄ると、渓流の周囲をコンロンソウが埋め尽くしており、苔の緑と渓流、それに清楚な白い花が見事に共演していた。コンロンソウは、群生することも多く、その後、各地の山でも時々見かけたが、私にとってコンロンソウといえば、まず思い出すのは坂の清水である。現在もあるかどうかは不明。



長野県木曽町・尾ノ島の滝で撮影したコンロンソウ。当然のことながら滝壺の周囲は飛沫がかかり、常に湿潤な環境なので、本種の生育には適しているのだろう、結構な群生だった。



福島県檜枝岐村の橅坂の清水。苔むす岩の間を岩清水が清冽に流れ抜け、その周囲をコンロンソウが飾り立てていた。



  
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植物記