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秋の味覚といえば…
クリ
ブナ科
Castanea crenata
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 ブナ科クリ属の落葉高木。北海道南部、本州、四国、九州に分布。山地に生え、樹皮は灰黒色で、老木になると幹に沿って大きな割れ目がいくつも入る。葉は、表面に光沢がある薄い革質で先端は鋭くとがり、先が刺状の鋸歯が縁に並ぶ。

 雌雄同株で、6月に花をつける。花序の上部に雄花、基部に雌花がつくが、虫媒花なので、花には独特の強い香りがある。秋には堅果が熟し、これを食用にすることは説明するまでもない。球形の殻斗(いが)表面には、長さ1センチほとの刺が密生するが、熟すと割れて中の堅果が顔を出す。自生クリ(シバグリ・ヤマグリ)の堅果は、栽培クリよりも小さいが、甘みがあっておいしい。クリは、縄文時代にはすでに栽培されていたともいわれ、日本人の食生活に長く関わってきた樹木である。



雄花序を付けたクリの枝。写真は自生クリだが、栽培クリのそれはもっと大きい。滋賀県高島市。



9月下旬、殻斗(いが)がパックリと割れて、中の堅果(クリの実)が顔を出した。「栗が笑む」とは、よくいったものだ。新潟県長岡市。



たわわに実ったクリの木。写真を撮っている間にもポトンポトンと熟した実が落ちてきた。新潟県長岡市。



ツヤツヤした堅果が顔を出した殻斗(いが)。通常は左の実のように3個の堅果が入っていことが多いが、時には右の実のように1個だけということも。新潟県長岡市。



自生クリの実を採取して、虫喰いのものを除き、笊の上で天日干しにする。このあと表面の堅い殻を取り除いてからさらに天日干しを続けると、パリパリに乾いて中の薄皮も取り除きやすくなる。これを栗ご飯などにする。クリの採取場所・広島県北広島町。撮影・広島市。



  
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Nature
植物記