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高山帯の木といえば…
ハイマツ
マツ科
Pinus pumila
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 マツ科マツ属の常緑低木。漢字では「這松」。北海道と本州中部地方以北に分布。高山帯の稜線など、乾燥した風衝地に生える。地面を這うように風下に向けて枝をのばす。葉は5葉性で、縁には疎らに細かい鋸歯がある。雌雄同株。6〜7月、雄花は紅色で新枝の下部に多数付く。雌花は紫紅色で新枝の先に1〜2個付く。翌年の夏から秋にかけて毬果となるが、熟しても種鱗は開かない。
 稜線にハイマツが広がる光景は、北アルプスや南アルプスなどの高山帯を代表する景観といえるが、風の影響が弱い場所では、立ち上がり灌木状になる。




風衝地では、名前の通り這うような樹形となり、カーペット状に覆う。北アルプス・乗鞍岳。



ハイマツに覆われた岩稜。典型的な高山植生といえる。中央アルプス・乗越浄土。


鮮やかな紅色をした雄花。やがて黄色い花粉を出す。北アルプス・八方尾根(左)。紅紫色をした雌花。北アルプス・乗鞍岳(右)。



毬果。種鱗は肉厚でぴったりと重なり、熟しても開くことはない。北アルプス・蓮華岳。



這うように風下に向けて枝をのばすハイマツ。上と真ん中の枝は生きているようだが、右側の枝は、まるで屋久島の白骨樹のように白くなり、枯死しているように見える。苛酷な環境下、むき出しの枝が受ける影響のほどが伺い知れる。北アルプス・乗鞍岳。



  
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植物記