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採取を免れて見事に生長した株も…
セッコク
ラン科
Dendrobium moniliforme
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 本州・四国・九州の山地や渓谷に分布。木の幹や岩壁に着生するラン科セッコク属の多年草。漢字では「石斛」の字が当てられるが、もともとは中国大陸に自生する別種を指す名前。葉は互生し、長さ3〜5センチでやや厚い。5〜6月に花茎を出し、先端に白色〜淡紅色で芳香がある花を1〜2個付ける。側花弁と萼片は同じ長さで、距は短い。

 栽培目的の採取により個体数は減っているが、それでも高い木の幹や高い岩壁に着生した株は人間が近づくことができないために採取を免れ、無事に存続している。中には見事に生長した株も少なからず見られるようだ。
 例えば、高尾山6号路の木に着生したセッコクはかなり立派で有名だが、私が見たのは広島県の某渓谷。ある人に教えてもらい、訪ねてみた。それは渓谷右岸に垂直にそそり立つ高さ60メートル以上にもなる岩壁の、しかも上部付近に着生していた。さすがに距離があり、撮影は難しそう。
 とにかく50〜500mmの望遠ズームレンズに2倍テレコンバーターを装着。通常はレンズの三脚座だけで三脚に固定するが、今回は状況が状況だけに三脚を2本持参し、三脚座とカメラ本体を、それぞれ別々の三脚で固定し、さらに荷物を重しとして利用して徹底的にブレ対策をした上で感度も上げて撮影した。それでも3時間粘って、ほとんどのカットがブレブレ。掲載した写真も満足できるレベルではないが、なんとか見れる数少ないカットである。



セッコクとしてはかなり見事な株。いつか、これほどの株を間近で撮影したいものだ。



セッコクの蕾は、くの字状をしている。植栽品。



花のアップ。同じく植栽品。



  
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植物記