<<前のページ | 次のページ>>
静岡県と愛知県に分布するムヨウランのなかま
エンシュウムヨウラン
ラン科
Lecanorchis suginoana Lecanorchis kiusiana var. suginoana )
…………………………………………………………………………………………………

  常緑樹林の林床に生えるラン科ムヨウラン属の腐生植物。「無葉蘭」という名前の通り、葉はなく葉緑素は持たない。特に本種は静岡県と愛知県のみに分布し、独立種のほかにムヨウランの変種とする見解もあるようだ。高さは20〜30センチ。5〜6月に淡褐色〜淡黄色の長さ約1.5センチの花を数個付ける。

 写真は愛知県内の常緑林内で偶然、見かけたエンシュウムヨウランである。別の花を目的に訪れたところ、すでに終わっていて撮影は叶わず。その代わりに出会えたのが本種だった。林を抜ける小径の途中で見かけたが、地味なので遠目では何かわからなかった。まさかランとは思わずに近寄ってみたらランだったのでビックリ。すぐにムヨウランという名前が頭に浮かんだが、帰宅して調べてエンシュウムヨウランと判明。
 よく見ると周囲の林床には、あちこちに本種が生えていて、中には数十個の閉じた花を付けた株もあった。その株が満開となったところを撮りたくて、6日後と8日後にも足を運んだが、ベストのタイミングに合わせることはできなかった。早朝や夕方に開花する…みたいな可能性もあるかもしれないが、それも考慮して異なる時間帯で訪れてみたが、いずれも花は閉じており、最後の訪問時には、すでに痛みかけていた。結局、最も開花状況がよかったのは、以下に掲載した最初に見つけて撮影したカットとなった。



こうして写真にするとランであることは一目瞭然だが、肉眼で遠目に見ると、葉を展開する前の幼木のようにも見える。注意深く探す必要がある。



開花した花と閉じた花。唇弁には黄色い毛が密生している。



  
 CONTENTS 
 
   
 

Nature
植物記