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「一黒子」って何のこと?
ヒトツボクロ
ラン科
Tipularia japonica
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 「ヒトツボクロ」という名前を聞いただけでは、ランどころか植物の名前とも思えないが、ラン科ヒトツボクロ属の多年草である。漢字では「一黒子」。一体どの部分をホクロに喩えたのか、まるでわからない。可能性として考えられるのは、少し黒っぽい蕾をホクロに見立てたとか? しかし、それとて花序には複数の蕾が付くので、「ひとつ」ではない。
 林下に生え、暗緑色の長卵形をした葉が1個付く。中脈は白く、裏面は赤紫色。5〜7月に花茎を立ち上げ、紫褐色を帯びた淡黄色の小さな花を10個前後咲かせる。

 写真は、山梨県の富士山麓で見かけたヒトツボクロ。付近に数株があったが、ベストの時期には数日早かったようで、残念ながらほとんど蕾。開花していたのは写真の株のみで、しかも花は2個しか開いていなかった。薄暗い環境に加えて、花が小さいのでピントを合わせるのに苦労した。マニュアルで一度合わせた上で、微妙にピント位置を前後にずらしながら連写し、あとで合焦点カットを選び出した。




よほど注意して探さないと見つけるのは難しそうだ。せめて特徴的な葉とひょろりとのびた花茎を頭に叩き込んでおくしかない。花が2個しか開いていないので、あまりいい写真じゃないけど、とりあえず出しときます。いずれ機会があれば再チャレンジしたい。


花は地味で小さい。後にのびるのは距(左)。中央に白い筋が入る葉(右)。


葉の裏は赤紫色(左)と若い果実(右)。上の写真とは別の場所で撮影。



  
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