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日本神話にも登場する
ガガイモ
ガガイモ科
Metaplexis japonica
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  ガガイモ科ガガイモ属のつる性多年草。北海道〜九州の日当たりのよい草原や道端などに生え、つるをのばして繁茂する。茎を切ると白い乳液が出る。葉は対生し、長さ5〜10センチの少し長めのハート形で、先はとがる。葉のわきから集散花序を出し、直径約1センチで5裂する淡紫色の花冠を十個前後付ける。内側には毛が密に生え、雄しべと雌しべは合着。果実は長さ10センチの袋果。ふたつに割れて種子を落とす。

 ところで日本神話にもガガイモが出てくる。少名毘古那命(すくなびこなのみこと)は、海から天之蘿摩船(あまのかがみのふね)に乗って大国主命の前に現れる。「かがみ」とはガガイモのこととされるので、つまりガガイモ果実の殻を船にして乗れるほどに小さな神というわけ。ちなみに出雲国に海からやってくるということは、少名毘古那命が朝鮮系の神であることを示唆しているという説もあるそうだ。まさか神話の創作者が朝鮮半島における分布の有無を調べた上でガガイモを選んだはずもないが、日本だけでなく東アジアに広く分布しているので、仮にこの説が正しいとしても矛盾はしていない。



遊歩道沿いの柵を覆うほどに繁茂したガガイモ。福岡県北九州市。



毛むくじゃらの花は見てすぐにわかる。北海道美唄市。



田園地帯の未舗装農道沿いの草地につるをのばして広がるガガイモ。北海道美唄市。



  
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植物記