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仏炎苞を柄杓に見立てた
カラスビシャク
サトイモ科
Pinellia ternata
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  山野の道端や畑に普通に生えるサトイモ科ハンゲ属の多年草。細長く、先が少し広がった仏炎苞を柄杓に見立てた命名。ウラシマソウのように糸状の付属体が外にのび出て直立する独特な姿をしている。
 葉は1〜2個が根生し、3小葉からなる。葉柄や小葉の基部に珠芽(むかご)を付け、これで増える。仏炎苞は葉よりも高く立ち上がり、緑色だが、個体により紫色を帯びて、写真のように縁取られることもある。高さは20〜40センチ。花期は5〜8月。

 駆除がやっかいな雑草ともいわれるが、ムラサキカタバミのような悪印象はない。かつて実家では、ある一画に群れていたが、その後、草刈りだったか、何だったか、とにかく経緯は忘れたが、きれいさっぱり消失。その後、まったく別の場所にちょろちょろと出るくらいで、今のところ害は及ぼしていない。むしろ、そのユニークな姿を見て楽しんでいる。



実家の庭に生えているカラスビシャク。雑草とはいえ、草姿がおもしろいので、そのままになっている。増えすぎると困るのだが、今のところ害はない。


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上のメイン写真を撮影した2週間後、仏炎苞を押し広げて果実が姿を現した(左)。仏炎苞を切断してみた。付属体の基部は、仏炎苞と合着し、その反対側に卵形の子房が目立つ雌花が並び、その上には葯だけからなる雄花がぐるりと取り囲む(右)。


葉柄の下部には、珠芽を作る。時間が経てば、もっと膨れて大きくなる。半夏と呼んで、漢方では吐き気止めの薬用にする(左)。地下茎は球状(右)。




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