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清らかな冷水を好む水草
バイカモ
キンポウゲ科
Ranunculus nipponicus var. submersus
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  北海道と本州の河川や水路、湧水池などに生える多年生で常緑の沈水植物。日本固有種。水底に不定根を張り、長さ1〜2メートルになる。葉は互生し、葉身は細かく裂けて糸状。浮葉を作らないのも本種の特徴。
 葉の脇から花茎をのばし、水面上で直径1.5センチほどの白色の5弁花を開くが、水中にあって開花できない花も自花受粉で結実する。開花は6〜7月がピークだが、それ以外の春〜秋、時に冬でも花を付ける。雄しべと雌しべは多数。花が梅の花に似ているので「梅花藻」と名付けられた。

 写真は長野県白馬村の姫川源流の水路に群生していたバイカモだが、松本市の上高地などには3〜5中裂、もしくは浅裂する長さ1センチに満たない扇形の浮葉を作るイチョウバイカモ( R. nipponicus var. nipponicus )が産するほか、岡山県や広島県、兵庫県には葉全体の長さが8センチにもなるヒルゼンバイカモ( R. nipponicus var. okayamensis )、本州と九州には花茎が短くて小型なヒメバイカモ( R. kadzusensis )、北海道と東北北部には小型で繊細なチトセバイカモ( R. yezoensis )などのなかまがある。



姫川源流の水路に繁茂したバイカモ。開花のピーク時には、このようにびっしりだが、そうでなければポツポツとしか咲いていないこともある。写真ではわかりにくいが、糸状に細かく裂ける葉にも注目。



花弁は丸くて基部は黄色に染まる。上の写真と同じく姫川源流にて。撮影は別時期。


  
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植物記