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名前に反して海岸には生えない
イソツツジ
ツツジ科
Ledum palustre subsp. diversipilosum var. nipponicum
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  北海道や本州東北地方に分布するツツジ科イソツツジ属の常緑低木で、砂礫地や湿った草地などに生育する。日本固有種。名前は「磯躑躅」だが、名前に反して海岸には見られない。エゾツツジが訛ってイソツツジになったともいわれる。
 高さは70センチ〜1メートル。葉は枝先に集まるように対生し、長楕円形または狭長楕円形の革質で、長さ2〜5センチ。幅4〜15ミリ。縁は裏側に反り返り、裏面には白い綿毛がある。6〜7月、枝先に散房花序を出し、5深裂する白い花を多数咲かせる。果実は長さ3ミリほどの刮ハ。

 イソツツジの名所といえば、真っ先に思い浮かぶのが、北海道弟子屈町の硫黄山。川湯から道道52号を走ると、ほどなく道路の両側にイソツツジの大群落が広がる。車で走っても群落がしばらく続くほどの規模は、とにかく圧巻だ。
 かつてイソツツジは北海道南部までが分布域とされ、硫黄山のものなどは葉の裏に白い綿毛と褐色の長毛が混生することからエゾイソツツジ( L. palustre subsp. diversipilosum var. yesoense )として分けられていたが、現在では中間型もあることから区別しない見解の方が有力とされる。



きれいに丸くまとまったイソツツジの花序。花は直径約1センチ。雄しべは10個で、花冠から突き出る。北海道弟子屈町・硫黄山にて



硫黄山のイソツツジ大群落。硫黄山駐車場から川湯へと続く遊歩道で撮影したもので、背景の山は硫黄山の北西側にあるサワンチサップという標高520mの山。このあたりまで来ると前後左右、見える範囲はほぼすべてイソツツジ…といった印象である。



  
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