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青紫色の丸い花序が個性的
ヒゴタイ
キク科
Echinops setifer

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 キク科ヒゴタイ属の多年草。四国と九州のほか、本州では愛知県、岐阜県、広島県の3県にも分布する環境省レッドリスト絶滅危惧U類に指定されている絶滅危惧種。漢字では「平江帯」もしくは「肥後躰」。
 葉は長楕円形で羽状に深裂し、鋸歯がある。山地草原に高さ1メートルほどの茎を立ち上げて、先端に直径5センチほどの球形の花序をつくる。一見すると、ひとつの頭花のように見えるが、ヒゴタイの頭花は1個の筒状花からなり、それが集まって球形の花序を作っているので、頭花ではなく花序ということになる。花期は8〜9月。

 写真は九重山群・長者原ビジターセンター裏手の草原に咲いていたヒゴタイだが、付近のものは自生品から種子を採取して増やしたもの。今のところ自生品も健在らしい。
 今回(2013年8月)の取材では、九州の別の場所で、ヒゴタイの自生地情報を得る機会があり、登山者も稀な某登山コースで数株の自生品に遭遇することができた。ただ、そこは盗掘などで激減し、知られる限り最後の自生品のようなので、撮影場所はもちろん写真の掲載もやめておく。代わりに九重の植栽品の写真を。



青紫色の花序がおもしろいヒゴタイ。植栽品ではあるが、付近には遊歩道沿いに結構たくさんあって、背景も山や草原なので撮影もしやすい。九重・長者原にて



ヒゴタイの花序。筒状花ひとつひとつが頭花。



アザミのように深裂する葉。



  
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植物記