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水面に浮く丸い葉が特徴
オニバス

スイレン科
Euryale ferox

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 本州と九州の低地の池沼に生えるスイレン科オニバス属の一年草。ハスに似て刺が多いことから「鬼蓮」。葉は盾状に付き、水面に浮く葉は円形で直径30センチから大きいもので2メートルにもなる。表面は光沢があり、葉脈上に長さ1〜3センチの刺が並ぶ。
 8〜9月に葉を突き破って花茎をのばし直径4〜5センチの紫色の花を付けるが、水中に閉鎖花もあって自家受粉で結実し種子を作ることの方が多いようだ。種子はハスと同じように数十年休眠したのちに発芽することもある。全国的に減少しており、環境省レッドデータブックでは、絶滅危惧U類に指定されている。
 なお、葉の縁が立ちタライ状になり、葉の上に子供が乗っても沈まないことで知られるのは、南アメリカに分布する別属のオオオニバス(Victoria amazonica )である。



丸くて刺が多いオニバスの葉/新潟県新潟市・福島潟。ここはオニバスの北限自生地である。



葉がタライ状になるオオオニバス。日本でも栽培されるが、この写真は正真正銘の自生地で撮影したものだ。ブラジル・マナウスのアマゾン川支流にて



 
  
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