<<前のページ | 次のページ>>
低温で幹が裂ける現象
凍裂

…………………………………………………………………………………………………

 雪国の森を歩くと、時々、幹に一直線に亀裂が入った木を見かけることがある。これは、凍裂とか、寒裂、あるいは霜割れなどと呼ばれる現象で、亀裂の長さは1〜2m、時に5〜6mにもなる。
 冬期、気温がマイナス25℃以下になると幹内部に含まれる水分でさえ凍結する。水分が氷になると体積が膨張するので頑丈そうな幹でさえ割れてしまうのだ。オオシラビソやトドマツ、スギ、ブナ、ドロノキ、ヤチダモなど、針葉樹、広葉樹に関係なく広く発生し、人工林の場合は材の価値が著しく損なわれ、自然林の場合でも腐食のきっかけとなることがある。
 岩手県八幡平市・安比高原のブナ林を歩いていたとき、凍裂したブナがあった(写真)。この木の凍裂は長い方ではなかったが、このような凍裂した木は、寒さが厳しい雪国の亜高山帯などの山で時折見かける。



凍裂したブナ。亀裂からわずかに樹液が染み出しているようだ/岩手県八幡平市・安比高原。



大きな凍裂が生じたトドマツ。北海道共和町・神仙沼。



凍裂が生じてから、かなりの時間が経過していると思われるトドマツ。割れ目の周囲が盛り上がり、傷を塞いでいた。北海道共和町・ニセコ高原。



  
 CONTENTS 
 
   
 

Nature
植物記