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アメリカでは迷惑がられている
クズ

マメ科
Pueraria lobata

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 クズは、マメ科クズ属の多年性つる植物。道端や林縁などで、ほかの木や電柱にからんだり、地面をはったりしてこんもりとした緑の壁や絨毯を作る。旺盛な繁殖力があり、1930年頃、その能力を買われて、荒れ地緑化のため、日本からアメリカに大量の種子が送られた。緑化だけでなく高速道路の防音壁にはわせて防音効果を高めるなど、メリットも多少はあったようだが、環境が合いすぎてどんどん繁殖してしまい、今では有害な外来種に指定されて迷惑がられている。日本では、アメリカをはじめ多くの外国産帰化植物がたくさん知られているが、実は逆もあるのだ。
 秋の七草にも数えられ、8〜9月にブドウのような芳香をもつ赤紫色の蝶形花を総状につける。果実は金色の粗い毛に覆われた豆果で、中には種子がある。同じさやの中でも茶色とまだら模様の2種類の種子が入っており、前者は発芽しやすいが、後者は発芽しにくい性質があるという。
 葛粉は本種の根から取った高品質なでんぷんで、古くからその産地として知られていた国栖(くず。現在の奈良県)が、名前の由来とされる。またクズの茎は、籠などの材料として利用される。




ブドウのような芳香があるクズの花/山口県下松市



豆果/群馬県妙義町



葉は3出複葉/新潟県柏崎市



2種類の種子。茶色(左)とまだら模様(右)



道路の反射板にからまって、完全に覆ってしまったクズ/新潟県柏崎市



クズの根/埼玉県飯能市


クズの根を粉砕して水で晒し不純物を取り除いて作られる葛粉。本場の吉野本葛は高級和菓子などに使われる。葛根湯のように薬効もある。
  
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Nature
植物記