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万葉集にも登場する
オケラ

キク科
Atractylodes japonica
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 キク科オケラ属の多年草で、本州〜九州の里山の雑木林や草原に見られる。古くは、「うけら」と呼ばれ、万葉集にも次のように詠まれている。

 恋しけば袖も振らむ武蔵野のうけらが花の色に出なゆめ

 「うけらの花のように顔色に出すな」などと喩えられ、つまり目立たない花をつける代表的な植物とされていたようだ。万葉集の頃は「うけら」と呼ばれていたが、さらに前は「をけら」だったそうだ。それが東国方言で「うけら」となり、現代では「オケラ」になったらしい。
 乾燥した根茎は、漢方にも用いられ、正月に呑む屠蘇の原料でもあり、また若芽は山菜としても利用され「山でうまいはトトキにオケラ」といわれたりもする。
 高さは30センチ〜1メートル。葉は3〜5裂し、縁には刺状の鋸歯がある。頭花は白色で、総苞のまわりを魚の骨を思わせる苞が取り囲む。花期は9〜10月。



万葉集がたとえるように確かに目立たない。長野県・八子ヶ峰にひっそりと咲くオケラ



  
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