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日本産柑橘類の意外なルーツ
植物雑話9
ナツミカンは、元をたどればたった1本の木

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 ユズやキンカンは中国原産だが、ウンショウミカン、ナツミカン、ハッサク、イヨカンなどは日本原産の柑橘類。しかし、これらの柑橘類は、もともと日本にあったわけではない。江戸時代〜明治時代にかけて中国地方で発見され、それが広まったものなのだ。日本の野生柑橘類といえば、タチバナ、コウライタチバナ、シーカーシャーの3種だけである。
 ウンショウミカンは、江戸時代初期に鹿児島県で作られた品種だが、一方、ナツミカンは江戸時代中期に山口県で、ハッサクは江戸時代後期に広島県で、またイヨカンは明治時代に山口県で、それぞれ発見された優良品種である。従って最初に発見された原樹があり、それをもとにして広く普及したのである。ちなみにウンショウミカンの温州とは中国の温州のことで、ミカン産地として有名だった温州が原産地のように誤って伝わり、それが定着してしまったようだが、正真正銘、日本で作出されたミカンである。


山口県長門市・青海島の民家の庭先にあるナツミカンの原樹(左)とその解説板(右)

  
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Nature
植物記