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海辺に生えるニガナのなかま
ハマニガナ

キク科
Ixeris repens
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 日本全土の海岸の砂浜に生えるキク科ニガナ属の多年草。漢字では浜苦菜。砂の中に地下茎をのばして栄養繁殖し、厚い葉は掌状に3〜5裂する。砂に埋もれることも多いが、茎をのばして砂の上に葉を出す。4〜10月には15〜20個の舌状花からなる直径2〜3センチの頭花を開く。名前がよく似たハナニガナという種類もあるので間違えないように。

 下の写真は、2002年秋に岩手県陸前高田市の高田松原で撮影したハマニガナである。白砂青松が広がる美しい浜辺だったが、2011年3月の津波で跡形もなく流されたことは説明するまでもないだろう。クロマツ林内を散策して砂浜に出てみると、足下にハマニガナがひっそりと潮風に吹かれていた。8年後、この華奢な植物だけでなく海岸にのびる長い堤防も巨大な鋼鉄製の閘門(水門)も海に飲み込まれる運命にあるとは、このときは想像もしなかった。



風で砂が飛ばされ、頻繁に埋もれる環境にあってもそれをものともせず可憐な花をつける



  
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植物記