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新緑や黄葉が美しい日本固有の針葉樹
カラマツ

マツ科

Larix leptolepis

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 日本固有のマツ科カラマツ属の落葉高木。宮城県から静岡県や石川県まで分布するが、広く植林され、馴染み深い種類。自生のものは、天然カラマツ(天カラ)と呼んで植栽したものと区別する。漢字で「落葉松」と書くように、日本産針葉樹で唯一、黄葉し落葉することでも知られる。新緑や黄葉の美しさは見事で、ほかの針葉樹にはないカラマツの大きな魅力といえそうだ。
 短枝には、20〜30個の葉が束生し、長枝には、らせん状に互生する。5月頃、短枝に雌花と雄花を出し、雌花は上向き、雄花は下向きに付く。雌雄同株。また、分布の北限にあたる蔵王連峰・馬ノ神岳のカラマツは、別変種とされるようになったらしい。北海道では、よく似たグイマツ(L. gmelini var. japonica)が植栽される。
 ところで浅間山と黒斑山の間に広がる湯ノ平高原から浅間山へ向かうと、カラマツの背丈は次第に低くなり、やがて、ある一定以上になると、まったく見られなくなる。まさにこれが森林限界。わずか数メートルの違いが、生育の可否を区別しているわけだが、山の形が円錐形なので、そのラインが手に取るようにわかるのだ。ちなみに浅間山周辺には、カラマツが多く、秋には山肌が黄金色に染まる。



戸隠高原のカラマツ林。明治時代に植林されたものだが、見事な林が続く。新緑の頃は、木漏れ日が優しく降り注ぎ、心地よい。

黄色く色づいた秋のカラマツ林
福島県・田代山林道にて

樹皮は、粗く裂ける。南志賀高原
毬果。種鱗の先は反り返る。富士山・御庭(左)。雌花。基部には葉がある。長野県・湯ノ平高原(右)

  
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植物記