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東北地方を特徴づける高山植物のひとつ
ヒナザクラ

サクラソウ科

Primula nipponica

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 八甲田山や秋田駒ヶ岳など、東北地方の亜高山帯〜高山帯でしか見られないサクラソウ科サクラソウ属の多年草。岩木山、早池峰山、飯豊連峰にはないが、その代わりに岩木山には固有種のミチノクコザクラ、早池峰山にも固有種のヒメコザクラが分布し、飯豊連峰には固有ではないが、ハクサンコザクラが見られる。このような例外があるにしても、本種は東北地方を特徴づける高山植物のひとつといえるだろう。

 名前は「雛桜」で、確かにか弱くて小さな姿にぴったりの名前といえる。湿った場所を好み、雪田が融けた跡でよく見られ、時に群生する。花期は6〜7月だが、遅くまで雪田が残る場所では、8月でも花を咲かせていることもある。花は径約1センチで、5裂し、さらに裂片は2中裂する。花冠の基部には黄斑がある。高さ10〜15センチの花茎の先に1〜8個の花をつける。また葉の上半分には歯牙がある。


秋田駒ヶ岳・弥陀ヶ池畔に群生するヒナザクラ。秋田駒ヶ岳では、ほかの場所で、もっとびっしりと咲くヒナザクラを見かけたこともある。


花期の草姿(左)と花のアップ(右)。花冠中心の黄色は、品のある配色である。どちらも秋田駒ヶ岳にて。


 
  
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