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花が「梅鉢紋」に似ていることから
ウメバチソウのなかま
ユキノシタ科
Parnassia palustris
(ウメバチソウの学名)
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晩夏から初秋の頃、山で見かける機会が多いユキノシタ科ウメバチソウ属の多年草。名前は「梅鉢草」で、家紋の梅鉢紋に似ていることから。山野に生えるウメバチソウは、高さ10〜30センチで、花は径2〜2.5センチ。仮雄しべは糸状に12〜22裂し、先端には球状の腺体がある。一方、高山には変種のコウメバチソウ(エゾウメバチソウ。var.
tenuis
)が分布し、仮雄しべは7〜11裂する。また屋久島の高地には、矮小品種のヤクシマウメバチソウ(f.
minima
)が見られる。さらに鳥海山や谷川岳、北アルプス北部などには、花が1センチにも満たないヒメウメバチソウ(
P. alpicola
)もある。
ヤクシマウメバチソウは生育地が限られるので、紛らわしいことはないが、本種とコウメバチソウの区別は難しいことがある。そもそも仮雄しべの先が何本に分裂しているか数えるのは、ルーペがあったとしても困難である。花を折り取れば数えられなくもないが、それができないとなると、地べたに這いつくばって数えるしかないわけだ。しかも微妙な本数のこともあって判断に悩むことになる。
池の堰堤に咲くウメバチソウ。新潟県妙高市・斑尾高原にて
花の中心部を取り巻くクシの歯状の部分が仮雄しべ
ウメバチソウ。長野県松本市・美ヶ原高原
コウメバチソウ。北アルプス・天狗の庭
ヤクシマウメバチソウ。花の径は約1センチ、高さは5センチほどしかない。屋久島・宮之浦岳
ヒメウメバチソウ。仮雄しべは3〜5裂する。頸城山塊・金山
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