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山地の渓谷などに生える
ヒメレンゲ

ベンケイソウ科
Sedum subtile

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 「レンゲ」という名前が付く植物はいろいろあって、例えばレンゲソウ、レンゲツツジ、レンゲショウマなどが挙げられる。いずれも蓮の花を意味する「蓮華」に由来するというだけで、分類学的な結びつきは一切ない。本種も蓮華に由来する植物のひとつで、花を付けない茎下部の葉をそれに例えたものなんだそうだ(うーん、ちょっとややこしい)。別名コマンネングサともいう。
 関東地方以西の本州、四国、九州の分布。渓谷や渓流などの湿った岩の上にマット状に広がり、5〜6月に黄色い5弁花を咲かせる。花は径6〜8mm、葯は赤褐色をしている。
 本種を含むマンネングサのなかまには、見た目が似ている種類がいくつかあるが、基本は葉の形態や付き方の違いに着目すること。誤認する可能性があるのは、メノマンネングサとコモチマンネングサあたりだろうか。たが、前者の葉は多肉質で円柱形をしており、後者には葉腋にむかごを付ける特徴があり、よく見れば違いが判然とする。ほかのマンネングサのなかまは、丸い葉を持つマルバマンネングサのように葉の形態が明らかに異なるので区別はしやすい。
 写真は、山梨県の尾白川渓谷で見かけたヒメレンゲ。ここは、南アルプスに刻まれた渓谷で、近くにはサントリーの白州工場なんかもある名水の地。そんな清流で、ヒメレンゲの明るい黄色が、とても目立っていた。




渓谷の湿った岩上を真っ黄色に覆うヒメレンゲ。山梨県北杜市・尾白川渓谷



花弁は5個。葉は互生する


  
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Nature
植物記